神が少女に降りようとしているとき、固唾を飲んで見守る母親や兄弟たち
いまから考えると、痛々しい光景だった。家の中でお香の煙を吸い、ロウソクの芯を噛みながら神がかっていき、少女は突然野太い声でお告げを述べ始めた。掘っている場所が違うというのである。それから別の場所を掘ってさらに数時間、ようやく女神が宿る石が発見された。
半年前、学校教師をしているピーター・ゲイブリエル似の彼女の父親が精神的に病み、通常なら近くのタマン族の村のシャーマンが呼ばれるところだが、彼女はみずからシャーマンとなり、父親を治療した。父親思いの娘の気持ちからシャーマンが生まれるのは、珍しいケースである。であるからこそその後少女がプロフェッショナルなシャーマンになったか、それともクマリのように一過性のものとして、現在は普通の主婦となっているか、現状を知りたかったのである。
少女と発見されたばかりの女神が宿る石。鳥の血が捧げられた。