エドガー・ケイシーが「読む」イエス修行の旅   宮本神酒男 

転生を繰り返すイエス 

 「眠れる預言者」エドガー・ケイシー(18771945)ほどの規格外のサイキックを私は知らない。彼が精力的におこなったリーディング(催眠時のアカシック・レコードの読み取り)は、7000件以上が失われてしまったが、記録に残っているものだけでも14000件に達すると言う。その多くは個別に現在の問題点の原因を探るため、前世をリーディングして、転生とカルマを知るというものである。

 ケイシーは日常的には日曜学校の教師を務め、近隣の人々にはよきクリスチャンと思われていた。そのためか、イエスに関するリーディングが頻繁におこなわれていた。ケイシー自身太古の昔から何度も転生しているように、イエスもまた数えきれないほど(30回らしい)転生していた。主だったイエスの転生は以下のとおりである。

アミリウス:アトランティス時代、キリスト魂を最初に受肉した。

アダム:最初の人の子にして神の子。

エノク:洪水後の族長。

ヘルメス:トートとも呼ばれた賢人。ピラミッドの建設者。

メルキゼデク:大祭司でサーレムの王。

ヨセフ:ヤコブの子でエジプトの王子になった。

ヨシュア イスラエル人を約束の地へ導いた戦士。

アサフ:音楽の監督。ダビデ王やソロモン王のために働いた。

イェシュア:大祭司で神殿を再建した。ケイシーによれば聖書の編纂者。

ゼンド:ゾロアスターの父でゼンド・アヴェスタを編纂した。

イエス:キリストとしてat-one-mentを達成した。 


 ただし「イエスの重要な転生を教えてください」と問われ、ケイシーは「アミリウス、アダム、メルキゼデク、ゼンド、ウル、アサフ、イェシュア、ヨセフ、ヨシュア、そしてイエス」と答えている。
 

 ケイシーの前世とイエスの前世が交差する瞬間があった。かつてケイシーはユールト(Uhjltd)という名の族長としてペルシアに転生した。ユールトが瀕死の重傷を負ったとき、たまたま通りかかった娘が彼を助け、看病した。ユールトには彼女がエジプトでイソであったことに気づく。イソはラ・タとイスリスのあいだにできた子供で、ユールトの前世と双子の魂だったのである。彼は看病してくれたこの娘と結婚し、生まれてきた子供がゼンドだった。ゼンドはゾロアスターの父だった。

 イエスは何度も転生を繰り返している、ということはつぎの転生があってもおかしくないということになる。もし転生があらわれたなら、すさまじい反響を呼び起こすことになるだろう。あるいはカルトの烙印を押されてしまうかもしれない。

 一方エドガー・ケイシーの転生を自称する者が現れた。作家のデーヴィド・ウィルコック(1973− )である。『エドガー・ケイシーの転生か』(2004)は大きな話題となり、『ソース・フィールド調査報告』(2011)は大ベストセラーとなった。転生が本当かどうかはともかく、読者の心を捉える才能は受け継いでいるように思われる。 




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