世界七賢人会議
第56章
1 時間がはじまって以来、どの時代にも7人の賢者がいた。
2 あらゆる時代のはじめに7人の賢人たちは国や人々、部族、言葉の方向性を決めるため集まった。
3 人種がめざすべき正義、愛、公正さがどれだけ遠い道のりであるかを確認するのも目的だった。
4 法や宗教のありかた、新しい時代にあった規則を決めるのも目的だった。
5 ひとつの時代が去り、あたらしい時代が来ようとしていた。だから賢人たちは集まらねばならなかった。
6 アレクサンドリアは世界の思想の中心だった。それゆえフィロンの家に世界の賢者が集まった。
7 中国からはメンステが、インドからはヴィディヤパティが、ペルシアからはカスパールが、アッシリアからはアシュビナが、ギリシアからはアポローンが、エジプトからはマセノが参加した。
8 会合は時間通りにはじまった。賢者たちは七日間、黙したまま座った。
9 メンステが立ち上がり、言った。時の輪はもう一回りまわり、人類は思考の高みにあります。
10 父祖が織った衣は分配されました。天使ケルビムは天上の衣を織りました。それはわれわれの手の中に置かれているので、人々のためにあたらしい衣を作らなければなりません。
11 人の息子たちはより大きな光を求めています。彼らはもはや木から、あるいは土から創られた神を意にとめないでしょう。彼らは手で作られた神など必要としないのです。
12 彼らは新しい時代の光線を見ています。しかしまだ理解しているとはいいがたいのです。
13 時は熟しました。われわれは人類のために新しい様式の衣を準備しなければなりません。
14 人類のために正義の衣、慈しみの衣、公正の衣、愛の衣を作りましょう。あたらしい日の光の輝きによって裸体を覆いましょう。
15 ヴィディヤパティは言った。祭司たちはみな頭がおかしくなったのです。彼らは荒野に悪魔を見ました。悪魔に燭台をぶつけると、それらは砕け散りました。祭司たちのどの光も人を照らすことはありませんでした。
16 夜は暗いのです。インドの心は光を求めていました。
17 祭司の道は正されることはありませんでした。それはすでに死に絶えていたのです。もっとも必要とされたのは墓と葬送の歌でした。
18 新しい時代は自由を求めています。祭司になる者はひとりで敢然と進んでいくでしょう。そして神の祠の前に捧げものを置いていくでしょう。
19 カスパールは言った。ペルシアでは人々は恐怖におののきながら歩きます。いいことをしようとしても、恐怖のために悪いことをしてしまいます。
20 われらの国では悪魔が最大の力を持っているのです。神話によると悪魔は膝の上で若さと年齢をあやすといいます。
21 われらの国は暗いのです。暗闇にはびこるのは邪悪なものたちです。
22 よぎる風に乗って恐怖はやってきます。すべての生命の影にそれは隠れています。
23 悪魔の恐怖は神話にすぎません。それは幻であり、罠です。それは力強いものがやってきて、光を置くまで居座るでしょう。
24 それはマギの国に光がやってきて輝くまで去らないでしょう。ペルシアの魂は光を求めているのです。
*このあとさらにほかの賢人たち、すなわちアッシリアのアシュビナ、ギリシアのアポローン、エジプトのマセロ、ユダヤのフィロンが発言する。彼らはこのときだけに存在したのではなく、世界が危機に陥るたびに召集される救世主集団なのである。イエスは彼らの上に君臨し、キリスト(救世主)というタイトルをただひとり享受することが許されるのだ。
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