2章 25 爆竹と騒ぎ立て呪術 

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 古代中国では二種類の互いに関連した騒音駆鬼呪術が流行していた。一つは防ぎようがないほど突然、大声あるいは大きな音を炸裂させて、鬼怪を追い立てる。さまざまな音を立ててその勢いで鬼怪を征服するのが目的である。二つの駆逐法と生活上の経験とは関連がある。稲光のあとの雷鳴、火中の竹、器や皿の割れる音、人の絶叫などがそうだ。人と鬼は互いに考え方や習慣が影響しあっている。これらのどれも鬼を駆逐する霊物(霊異なるもの)の範疇に入るのだ。

ほかの一種は、鼓騒法にさらに戦争の体験を組み入れたものである。両軍が対峙しているとき、太鼓や鈴を鳴らし、馬がいななき、殺せという叫び声が飛び交う。声に勢いがあるほうが勝利を得やすい。集団で鬼と戦うときは戦争のようで、おなじように太鼓を鳴らして騒ぎ立て、威圧的な声を発する。


 初期の爆竹は烈火に竹を投入したときの爆裂の音だった。爆竹の名はまさにこれから発生したのである。爆竹法はもともと火祓儀式と関係がある。邪悪なものを祓い除くたいまつやかがり火から竹の爆発音が聞こえ、人を驚かせるとともに、人を啓発し、鬼怪を驚かせる音を作り出すことができると人に理解させた。爆竹は火祓儀礼から分離したもので、独立したあたらしい駆鬼呪術を成した。

隋代になると、多くの人が爆竹の起源が秦代以前の照明用の大たいまつの「庭燎」にあることを知っていた。爆竹と火が密接な関係にあることから、この説はもっともだと思われている。