第3章 15 減鼠呪術 

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 いまだかつて人類は煙でいぶしたり、水浸しにしたり、捕鼠器具を設置したり、殺鼠薬をまいたり、ネズミ捕り用に猫を飼ったりと、さまざまなネズミを滅ぼす方法を試してきた。これらは殺傷能力の限界を示すものではなかったが、人間や家畜の安全を危険にさらすものでもあった。

 秦代以前、猫は「八臘(ろう)」の一つとされた。年末の臘礼(臘月、すなわち十二月の儀礼)には猫神として迎えられ、重々しく祭られ、つぎの年も多くの野ネズミを捕ることを人々は望んだ。漢代になるとほほえましい駆蟹捕鼠法なるものも登場した。すなわちカニの背中を艾草(もぐさ)で焼き焦がし、それをネズミの穴に放った。カニが痛がって走ると、「うまくネズミを生け捕りにした」(淮南子)という。さらには家の中で「狐目狸脳」を設置し、家ネズミを追い払った。このように人間の叡智とネズミの戦いに終わりはなかった。


 自然に任せたネズミ退治ではネズミを殲滅させることはできないので、巫師の超自然的な力がそれを補完するために必要となる。巫師はそこで敏速で手際のいい、マイナスの影響がないネズミ退治の方法を探ることになる。それは確実に目的を達する方法でなければならない。こうした方法には念呪、画符、断鼠尾、焚鼠骨、埋九鼠、塗神土などがある。