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 もっともきく眼を持った、もっとも勇敢な戦士でさえ、月のない夜の深い森では、自分自身の姿さえ見えないか、あるいは道を失ってしまう。動くたびに彼は枝や棘(とげ)で身を切り、打撲を受ける。毒蛇やオオカミに襲われるかもしれない。

 さらに悪いことには、忘れていた幼少期の恐怖の記憶がよみがえってくるかもしれない。すべての種類の幻影の恐怖におびえるかもしれない。自分は狂人になろうとしているか、正気を失いかけていると感じるかもしれない。見えない崖があり、落ちて命を失うかもしれない。

 この世界は輝かしい幸福の約束ばかり満ちているが、真実といえば、おお獅子王よ、このような森なのだ。空はしばしば雲に覆われている。夜には空は暗くなり、太陽や月はいつも動き、ときには消えてしまう。

 愛は野蛮な自己中心主義となり、智慧は計算づくになり、繁栄は凶暴なほどの貪欲となる。そして正義は抑圧の手段となる。

 ここでは達成は永遠ではない。この国では尊厳や富を取り戻したところで、何百回もまた失い、取り戻す、を繰り返すことになるだろう。あなたの永遠の智慧や確信、力さえもが、ここでは潮の満ち引きのように失われ、また取り戻される。大いなる努力が求められない場所などないのだ。