ケサル王 勇者の歌 ダグラス・J・ペニック (宮本神酒男訳)

 

第4章 

 翌朝、ケサルは人々に、リンの栄光を取り戻すために、ただちに出征してホルの王国を破壊すると宣言した。人々はその言葉を聞いて大いに喜んだ。しかしケサル王不在のあいだのひどい時代のことを思い出して恐怖に駆られる人が多かったのも事実である。こうした理由から、ケサルは「今であることの朝の太陽」という題の歌をうたい、至高の守護神であるニェンやマギェル・ポムラを呼び出した。