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 著名な15世紀の聖人にして学者、シュリー・ヴァッラバはこの神聖な愛の精神を広く、遠くまで伝えた。今日に至るまで、彼の教えは何千万人もの信者を擁する輝かしいバクティ派の基礎として残っている。わが親愛なる友、シャムダスはそのような信者のひとりである。1970年代はじめにアメリカ人として生まれ、シュリー・ヴァッラバの系統ではじめて非インド人としてイニシエーションを受けた。シャムダスはサンスクリット学者であり、インド古典音楽の大家であり、多数の著書の著作者であり、すばらしい料理人であり、愛すべき紳士だった。この本のために、バクティ派の真髄について、一節の解説を書いてくれないかと依頼した。この世界を去る少し前、彼はつぎのような文章を残してくれた。

 

 シュリー・ヴァッラバは、愛を通じて高次の知識として知られる恩寵の道(プシュティ・マルグ)について教えた。シュリー・ヴァッラバはヴリンダーヴァンのゴーピたちに焦点を当て、献身的な信仰をまねることによって人は精神的な感性を得ることができると教えた。彼の結論は「つねに、聖なる感覚を持って、シュリー・クリシュナをあがめよ」だった。

 彼は教えを世界に理解されるように適合させた。シュリー・ヴァッラバは世界をシュリー・クリシュナの遊び場と見て、信者に彼らのやり方によって、すべての最善のものを提供するよう促した。これに刺激されて信じがたい芸術、音楽、詩歌が「恩寵の道」に現れた。そして詩人、芸術家、作家、国王、ムスリムの神秘家、パンディット、動物までもが信仰のネクタル(神々の飲み物)を得ることができた。

 

 シュリー・ヴァッラバとおなじバクティの黄金の時代に生きたシュリー・チャイタニヤは、精神的完成の忘我の状態を人格化した。彼の人生と教えを通じて、あるいは愛する信者たちを通して、純粋な愛の忘我の状態を理解するために、すべての人に門戸を開放した。彼はまた、人の人生のあらゆる側面を、信仰を通じて、精神的真実に変容する技術を教えた。そしてとくに、自分を魂の深みに解放し、神の愛を理解するために、神の聖なる名前を瞑想し、称えるよう力説した。バクティの中核となる実践法は、それゆえキルタン(信仰の歌)となるのである。

 人生の完全さを理解するためのまれな贈り物がある。わたしたちへの神の愛と神へのわたしたちの愛の無限のやさしさを体験することができる。バクティ経典はこれを解放の核と宣言する。

 美しい女が愛人と会うときに高価な香水を着ける。彼女と会う誰もが甘い香りを体験する。神への神聖な愛は甘い香りの香水にたとえることができる。その香はわたしたちが行くところどこにでも届く。そして目的地、すなわち聖なる愛の至高の住み家に到着したとき、わたしたちはついに故郷にやってきたことを確信する。

 バクティは至高者への愛の捧げものである。バクティを通してわたしたちは無限の恩寵を理解し、わたしたちの心は恩寵に対し、完全な信頼を置く。ついには世界のはかない幻影のなかに間違って探してきた真の忘我を発見する。わたしたちの内には、潜在的にはこの愛を理解する能力があった。それは探し当てられるのを待っていた、もっとも尊い神からの授かりものなのである。

 

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