124−125
(少年ジョル、離れかけて止まり、振り向く)
「なんだ、恐いんか?」
「わたし、恐くはないけど……」
(ドゥクモ、はたと気づく)
「まずいわ、リン部落の移住の件を出しても拒絶されてしまうわ」(と心の中で思う)
(ドゥクモ、急にニコニコする)
「なんとか思い直させないと……」(と心の中で決意する)
「ねえ、やっぱりわたし間違ってたわ。あなたといっしょに行っていいかしら」
「いいよ、それでも。でもその前に馬を探すのを手伝ってくれよ」
(キョトンとするドゥクモ)
「あの馬を捕まえる? どうやって?」
「うーん、罠もうまくいかなかったようだし、ここは……」(と少年、考え込む)
「おまえが餌になっておびき寄せるんだ!」
「ええっ、魚釣りじゃないのよ!」「まず馬を探してよ!」(と、ぷんぷん怒りながらドゥクモが言う)
「そもそもあんた、なんでこんなに成長が早いの!?」(少女)
「おれが悪魔だっていいたいのか? そんなの人の勝手だろ!」(少年)
(喧嘩しながらも仲好さそうなふたりを見て、あきれた顔の犬)
「じゃあゴクモは?」(ジョルの母親が悪魔でないか聞く)
「おかげさまで元気だよ!」
「ふん、だれもみんなあんたとおなじってわけね」
「おれが言いたいのは、あんたも体よく追い出されたってことだ。はは、これぞ因果応報ってやつだ!」
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