156−157
(馬上のトトンがいさめるように言う)
「王妃がひとりで走り回ってはいけませぬ。さあ、お乗りください。わたくしめがお送りいたしましょう」
「王妃じゃないもん! ほっといてちょうだい!」
「このことはドゥクモさんの家で決められるものではありません。それにあなたはいずれわしの……」
(トトン、ドゥクモの肩に手を伸ばす)
(トトン、異変に気づく)
(トトンの伸ばした手の先を矢がかすめる)
(稲妻のごとき矢がトトンをかすめてその先の木の幹に当る)
(木の幹に刺さった矢)
(馬に乗った少年ジョル)
「あれ、ごめんなさい」
(ジョルのややおとなになった顔のアップ)
「いま叫び声を聞いて、野豚が叫んでいるのだと思いました」
(歯をむくトトン)
「このガキ、何をしたいんだ!?」
「あれ、あなたたちも狩りに来たんじゃないのですか」
「ジョル……」(ドゥクモの心の中)
「いまもしかして……」(私を助けてくれたのかしら、とドゥクモは考えた)
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