夢幻チベット Dreamworlds Tibet   宮本神酒男

あれは13歳のときでした。
母を亡くし家族を失った私は放浪の旅に出ていました。
聖なるナムツォ湖のまわりを巡っていたときのこと
湖上に馬に乗った武将の姿を見たのです。
見た瞬間私は意識を失い
七日七晩混濁した夢を見ました。
三人の巡礼の娘たちによって私は活仏のもとへ連れて行かれました。
わけのわからないことをしゃべっていた私ですが
活仏によって「天を啓く儀礼」を受けると
突然筋の通った物語を語るようになっていたのです。
それはケサル王物語でした。
それ以来私は夢の中で物語を授かり、
いただいたものをそのまま語り、歌うようになったのです。

チベット・タンラ山脈の麓の高原に生まれた
夢の中で物語を神から授かる
放浪のケサル吟遊詩人
ツェラン・ワンドゥ

Gesar bard from Tibetan plateau

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