ガンダーラを読む

ブッダの生涯(仏伝浮彫)  宮本神酒男

Queen Maya's dream
託胎霊夢。
バラモンの夢占いによれば、日天が右脇から入れば転輪王となり、白象が右脇に入れば尊い人となるという。左の浮彫では摩耶夫人のすぐ上に円があり、そのなかに白象が見える。

Birth of Siddharhta
仏陀の誕生。
ルンビニーの園林で摩耶夫人が右手をあげ、アショーカ樹の枝をつかむと、右脇からシッダールタ太子が生まれた。難産ならぬ容易産である。樹女神ヤクシーの影響を受けているという。

Birth of Siddhartha and seven steps
七歩行。
太子は生まれると七歩進んで獅子吼したという。すると天から温冷二水が太子の頭に灌がれた。

Bath of child
灌水。
上の七歩行のあとの灌水の場面。

Siddhartha goes to school
通学。

Great departure
出城。
愛馬カンタカにまたがって城を出る。宮廷生活に別れを告げる。後ろにいるのは御者チャンダカ。

First meditation of Siddhartha
シッダールタの最初の瞑想。

Renunciation
出家の決意。

Return of Chandaka and Kanthakha
御者チャンダカと愛馬カンタカの帰還。
御者と愛馬だけがカピラヴァストゥ城にもどってくる。

The Buddha offering the black snake to Kasyapa
仙人カーシャパを訪ね、解脱の道をきく。

Attack of Mara
降魔成道。
悟りを開こうとする釈迦にたいし、魔王(マーラー)たちはさまざまな手を講じてはばもうとする。

Gods entreat Buddha to preach
梵天勧請。
梵天(左。髻を結う)と帝釈天(右。ターバン)が法を説くことを勧める。

The first five disciples entreat the Buddha
五比丘との再会。
かつてともに修行をした仲間と再会。はじめ釈迦を落伍者と見ていたが、転じて最初の弟子となる。

Visit of Indra
いわゆる「帝釈窟説法」と呼ばれる浮彫。帝釈天はガンダルヴァやパンチャシカなどとう(シンニョウに刀)利天の神々をつれて洞窟を訪ねる。パンチャシカに琴(左図ではハープ)を弾かせ、三昧から釈迦を目覚めさす。

Buddha taming the elephant
酔象調伏。

Kasyapa going for last ceremony of Buddha

Death of Buddha

Fasting Siddhartha
断食苦行の釈迦。
これが有名な断食をして骨と皮だけになった釈迦。苦行のやりすぎからは悟りが得られないと知り、牛飼いの娘スジャーターから乳粥をもらい、体力を回復する。

Preaching Buddha
蓮華座上に結跏趺坐して禅定印を結ぶブッダが聖衆たちに取り囲まれている。宮治昭氏は「大光明の神変」と見る。浄土図の祖形。

  かつてガンダーラ美術が花開いた地域、とくにスワート地区に現在住んでいるのはイスラム原理主義者の多いパシュトゥーン人(パフトゥーン人)である。オーレル・スタイン卿によれば、彼らがガンダーラ美術の作り手およびその後継者を駆逐した。
 釈迦寂滅後、数百年は釈迦を描写することが避けられ、もっぱらストゥーパや舎利を崇拝してきたが、クシャーナ朝の人々はなぜか偶像崇拝者で、すさまじい創作意欲を見せ、つぎつぎと仏像を作り、浮彫をほりはじめたのだった。そのエネルギーたるや、はんぱでなかったことは、中国・朝鮮をへて飛鳥・奈良期の日本にまで達したたことからも想像できるだろう。
 以下は仏陀の生涯をはじめとするガンダーラ期の浮彫をスワート博物館などの展示から選んだもの。(一部はラホール博物館より)

Dipankara Jataka
燃灯仏授記本生図。
燃灯仏は過去仏のなかの最初の仏陀。昔、仏陀がメーガという修行者だった。メーガは持っていたお金で五茎の蓮花を買って散華し、泥水に自分の髪を敷いて燃灯仏をお通しになった。仏はメーガが来世においてシャカムニになるであろうと授記(予言)した。

Tournament
競試武芸。
太子の少年時代のエピソードはたくさんある。武芸にも学問にも秀でていた。

Distribution of relics
分舎利。

Descent from the Travastramsa heaven
三道宝階降下。

Transportaion of the Buddha relics
舎利の運搬。
馬やラクダで舎利を運ぶ。これはラクダ。

パーンチカとハーリティー。
ハーリティーは鬼子母神。夫婦には五百人の子供があったが、人の子をさらっては食べていた。仏陀は最愛の末子ピンガラを誘拐し、ハーリティーは親の気持ちがわかって改心する。この夫婦のモデルはイランの男神ファローと女神アルドホショだという。ン

奉献ストゥーパ。