ロバート・ニクソンの予言詩    宮本神酒男訳 


灰色の森の傍らに教会があり 

その屋根の上の石獅子の口にワタリガラスは建てるだろう 

イングランドの王は王位から駆逐され 

二度と戻ってくることはないだろう 

 

一羽の鷲がヴェイル・ロイヤルの館の上にとまるだろう 

後継ぎが生まれると 

イングランドの大いなる問題を目撃することになるだろう 

 

一本の足に二つの踵を持つ男 

ピーターという名の粉屋が現れるだろう 

男は勇敢さで名を轟かす 

そして勝利によって爵位を受けるだろう 

外国の諸勢力がイングランドに侵入するも 

彼らはみな殺されるだろう 

そして馬の背に横になった者が 

勝利に導かれるだろう 

 

一本の手に三つの親指を持った少年が生まれるだろう 

少年は国王の三頭の馬を持つことになるだろう 

イングランドは三度勝利し、一日で敗者となる 

しかしそのあと幸福の日々がやってくるだろう 

美徳を持ち合わせたあらたな人々が平和に過ごすだろう 

池の傍らのヴェイル・ロイヤルの壁が真実の証しとなるだろう 

しかし終焉を迎えることになるだろう 

ひとたび崩れ落ちるなら 

教会は永遠に落ち込んでしまうだろう 

だがもしそれが丘へ向って上方へ落下するなら 

教会と正直な人々は生きのびていくだろう 

 

この壁の下から英国の王の骨が見つかるだろう 

ペックフォートンの水車小屋はルディントンの丘に移されるだろう 

そして三日間の血がノージンシャーの水車を回すだろう 

しかしオウルトン卿から目を離すな 

自身のドアに首をくくることがないように 

 

濃い灰色の森で 

一羽のカラスが頭部のない十字架の上にとまるだろう 

そして貴族の上品な血を好きなだけ飲む 

二千頭の馬が主人を欲しがっている 

腹の帯が締められるまで欲するだろう 

 

われら自身のお金と部下のために 

むごたらしい戦争がはじまるだろう 

鎌(農民)と吸い上げる者(資本家)との関係が 

イングランドすべてにおいて悪くなる 

何度も誓いを破り 

思案に暮れることになろう 

小麦を刈りいれるべきかどうか 

死体を埋めよ、でなければ戦場へ行って戦え 

 

パンや小麦が不足するだろう 

兜(かぶと)の上に雪をのせた外国軍がイングランドに侵攻するだろう 

そして衣の裾に疫病、飢饉、殺人を入れてイングランドにもたらすだろう 

重い税を課すが、それらが徴集されることはないだろう 

 

干し草と二本の木の間で 

有名な戦闘が勃発するだろう 

 

ロンドンの通りに血は流れるだろう 

そしてそれは大地にしみこむだろう 

それは成就されるので 

リンカンがかつてそうであり、ロンドンが今そうであるように 

ヨークが三つのなかでもっともすばらしい都市となるだろう 

 

囚われた牛飼いのためのロンドンに通じる三つの門がある 

三頭の牛を持っているなら、最初の門で一頭が倒れる 

あなたは家にいる 

二番目の門で他の二頭が倒れる 

あなたは家にいる 

最後の門ですべてが倒れる 

 

冬に夏がやってくるとき 

すべての家に平和が訪れる 

戦争の危険が迫ると 

夜、国家は静かにまどろむけれど 

朝、人は起きて戦争へ向かう 

 

冬の評議会、入念なクリスマス、血まみれの四旬節があるだろう 

その頃に憎しみがあり、血が流れるだろう 

父は息子に、息子は父に対するだろう 

人は家を持ち、ドアの掛け金をはずすだろう 

地主は手に帽子を持って立つだろう 

土地を手放さないように借地人をもとめて 

 

大いなる戦争があり、兵士らがそそぎこまれるだろう 

最後には棒で殴り、靴で蹴り、そうして勝利がもたらされるだろう 

この頃には人は自分の物を売り、家にとどまるほうがいい 

そのとき手に40ポンド持つ方が 

土地代が年40ポンド入るのを期待するよりいいだろう 

北の雄鶏は逃亡するだろう 

その羽根は誇りのために引き抜かれるだろう 

彼は自分が生まれた日を呪うだろう 

 

人はニクソンにたずねる 

これらの日々、どこにいれば安全なのかと 

マーシー川とディー川の間の神の小作地がいいとニクソンは答える 

 

スコットランドはどうにか耐え忍ぶ 

イングランドが悲惨な状態になるまでは 

スコットランド人が丸一年イングランドを治めることもあるだろう 

大いなる戦争の三年間 

すべての国々に勃発する反乱 

最初の年はひどいもの、二年目は悪化し、三年目は耐えがたきもの 

そんな三つの大きな戦い 

ひとつはノーサンバーランド橋で 

ひとつはカンバーランド橋で 

ひとつはトレントの南側で 

カラスはあまたの貴族の血をすするだろう 

西、北、南に対し、東は立ち上がるだろう 

 

それから永遠に 

ノージンシャーの水車は血で回りつづけ 

あまたの者がワンスロー・レーンに飛び込むだろう 

 

ひとりの男がイングランドにやってくる 

だが棘の王冠をかぶった王の息子が 

彼から勝利をもぎとるだろう 

あまたの貴族が戦うだろう 

だが勝利を得るのは私生児の公爵だ 

そして遅れることなく 

イングランドを正しい方向に導くだろう 

東から来たオオカミが真摯に、熱望してやってくる 

それはスタンフォードの南側、灰色の山の上 

緑の上に森が育つ場所 

灰緑色の横に彼らは逃亡する 

岩の中に逃げ、死ぬだろう 

彼らは塩の浜に逃げるだろう 

剣を持たない二万の者が死ぬだろう 

黒いドラゴンがサズブラウンにやってきて 

王室の帯をもたらすだろう 

しかしその生活は孤独である 

その頭はスタッフォードの町にあり 

その尾はアイルランドにある 

勝利と名声のことを考えながら家来を従えてやってくる 

森の中の壁の横で打ち負かされるだろう 

ハインの荒野で血まみれの戦いをはじめるだろう 

よく訓練された馬に乗って彼は敵の兜を叩き割るだろう 

しかしだれが勝ったなんて、だれが言うことができようか 

 

デンマーク公なら一掃することができるだろう 

イングランのある日、神は光を与えるだろう 

婦人らは叫ぶ、「うまくいきますように」と 

そして力強い黒の軍隊が、すなわち 

彼らの敵が一斉に攻撃をする 

ブリテンの土地で騎士は残忍な戦いを課せられる 

苦渋のイノシシは敗走することになるだろう 

あまたの尊い騎士の命が失われるだろう 

彼は緑と灰色の荒野に駆逐されるだろう 

彼らは田畑も戦争も失うだろう 

 

弱った鷲は海のはての島へ行く 

そこでは葉やハーブが新鮮で緑色 

そこで彼は女神のような美女と会うだろう 

「戦場へ行って友を助けなさい」と言ったのはだれなのか 

その公正なる助言によって 

彼はどうしても助けたい 

敵の26の規範 

鎧兜(よろいかぶと)の品評会の自由奔放な銀獅子

あまたの騎士が死んだとき 

鷲が風に乗る手助けをしよう 

 

杭につながれた熊が鎖を振る 

だれもがその音を聞き、論争をするだろう 

牛と赤いバラは戦いに耐えるだろう 

それはイングランドにさらなる歎きを加えるだろう 

そうして命を失う者も多かろう 

 

森に三本のオークの木が立つ 

それは頭部のない十字架の横 

血が井戸から湧き出てくるだろう 

その蓋は真鍮製 

それは二度と現れない 

馬の脚に踏みつけられるまで 

勝利を宣言するのはだれ 

鷲は戦って勝利を得るだろう 

それから友は遠ざかる 

遅れることなく猟犬は追って行くだろう 

 

黒いドラゴンは戦いのうちに死ぬだろう 

熊が高々と立ち上がる 

大きなオオカミが明るく照らす 

馬勒をつけた馬が敵と激しく闘うだろう 

 

北から軍隊がやってくる 

木の馬に乗ってやってくる 

その下には白い雌鹿がいて 

あちこち逃げ回るだろう 

その日鷲が彼を殺すだろう 

丘の上には彼の旗を立てる 

見放され、逃げることを強いられた獅子は 

女が金切り声で叫ぶのを聞く 

「汝の友はみなあの丘で殺された!」

この日多くの騎士が死ぬ 

獅子は丘の上に旗を立てる 

森の中に平坦な場所がある 

頭部のない石の十字架の横で 

その日鷲は死ぬだろう 

赤い獅子が知られる 

そこで三人の王による戦いが勃発するだろう 

私生児の王が戦いに勝つだろう 

サンディフォードにひとつの石がある 

王冠を戴いた王はそこで首を失うだろう 

 

この恐ろしい日々に 

五人の邪悪な聖職者の首が1ペニーで売られるだろう 

怒りは虐殺を引き起こすだろう 

幼児もまた彼らに惨殺されるだろう 

少女らもまた恐怖と歓喜のはざまにあるだろう 

泣くがよい 

「ママ、ママ、男の人を見たよ!」 

 

7、8、9の間で 

イングランドでは驚くべきものが見られる 

9と13の間で 

すべての悲しきことがなされる 

それからリチャードが、リチャードの息子が立ち上がる 

幸福なる統治を祝福せよ 

三倍の幸福を今回は見ることができるだろう 

イングランドは休息と平和をふたたび享受することができるだろう