第二章

二兄弟と妹との不道徳な性的関係の成り行き

 創造主によってこの天と地が造られて以来、二兄弟とただひとりの妹はタカウン・ティピャー(Takaun tipyaa)川近くのラーヤルクティ(Laayarkuti)、すなわち石の上に建てられた家に住んでいた。ある日彼らはラーヤルクティに王宮のような豪華な家を建てるかどうかを論議していた。兄弟は建築のための石を川で集め、屋根のための木材をマウガウ(Maugau)すなわち春の川から集め、準備をはじめた。妹といえば屋根を葺くための草や潅木をタニ(Thani)から集めてきた。兄弟と妹は割り当てられた仕事を完全にやってのけた。しかしラーヤルクティの壁が築かれるたび、それは自然に崩壊した。家の形もいびつなものだった。妹は言った、「お兄さん、弟よ、私たちが望んだ家は完成しておらず、形もいびつ。壁を一日で築いても、翌日には崩壊してしまう。いったいどんな悪魔のたくらみなの? 私は占星術師でもあるハラデワラ(Haradewala)のおばあちゃん、ハラララー(Haralalaa)か、シャラー(Syalaa)のシジョシ(Syjoshi)に伺いをたててみよう。こうやって妹は準備万端整え、目的地に向かっていった。ずいぶんと歩いたあと、彼女はシバイ(Sybai)廟に到着し、タルチョを捧げた。

 彼女は廟(シャンバイタン syanbaithan)でアクシャタ(籾米)を捧げた。また土地の神、ビマミャー・タナに塩(シャラッチャ syalachhaa)を捧げ、アクシャタを撒いて祈祷した。このようにずっと下って彼女はジュプティ(Jputi)に着いた。ジュプティ川の主は悪魔シャガランディ(Syagalandi)、彼女はそれを取り除いたので、なんの障害もなく目的地に向かって進むことができた。彼女はマンガー・ターナ(Mangaa Thaana)に着くと緑の葉や一組のタルチョを捧げた。ずっと歩いたのち、パラウント村(Paraunto)、ラウントプ村(Rauntop)、そしてビクウォ村(Byikhwo)、ラハニマジマ村(Rahanimajima)に至った。それからたったひとりの妹は上っていき、リマジマ村(Rhimajima)の近くの鳥やネズミも入ることができないという鬱蒼としたミシン樹(misin)の森にたどり着いた。それゆえ彼女は鎌をもって森の中を突き進んでいった。ソファガル(Sofagal)のダウリ川(Dhauli)を渡ると、彼女はハルデワラ村(Hardewala)占星術師であり祖母のハラララー(Haralalaa)に出会った。たったひとりの妹は言った、「私はタカウン・ティピャー川(Takaun Tipyaa)近くのラーヤクティ村(Laayakuti)に住む者です。兄弟がふたりいます。兄弟の名はプバーニュン(Pubaanyun)とシャバーニュン(Syabaanyun)と言います。私は何度となく王宮のように立派な家を建てようとしたのですが、毎度家は崩れてしまうのです。いったいなぜでしょうか」。

 ハラララーは答えた、「深夜、あなたの兄弟は天から地を見るといいでしょう、あなたは空を見上げるといいでしょう、すると布団が被さるようにうまくいきます。こうしてあなたの望みは達成されるでしょう」。占星術師のことばを聞いたたったひとりの妹は内心おおいに喜び、家路に向かった。

 長い帰路の末、彼女はバウンリナ・フアビ(Baunlina Huabyi)に着いた。ティンターラウム(Tinthaaraum)の丘に着くと、彼女はアクシャター(籾米)を撒き、一対の白い旗を捧げた。さらに上がると大きな三つの石を組み合わせた囲炉裏があった。この囲炉裏は昔話で語られるダラマー谷(Daramaa)の先人フルワ・ドラン(Furwa Dolan)が造ったものである。ここでたったひとりの妹は料理を作り、食べるとまた上方へ歩き始めた。

 シャーラガタ川(Syaalaghata)の橋を渡って、シャーラーの占星術師(シャンジョシ syanjoshi)の家の庭にたどり着いた。九番目の扉を開けて、家に入った。会ったとき、彼らは挨拶を交わした。そして彼女は占星術師にたいし、言った。

「占星術師さん、私はトゥルティナ・グントゥラティナ(Tulthina Guntulathina)の下にあるラーヤクティ(Laayakuti)の住人です。プバーンユン(Pubaanyun)とシャンバーユン(Syanbaayun)は私の兄弟です。私は兄弟のたったひとりの妹なのです。王宮のように立派な建物を建てようとしてきましたが、ことごとく失敗に終わりました。なぜ失敗するのか、そのわけを知りたくて、ここに来ました。どうかあなたの占星術で理由を明らかにしてください。

 占いをしたあと、占星術師は言った、「たったひとりの妹さん! 真夜中に夜空を見上げてください。そうすればあなたの兄弟もあなたを見下ろすでしょう。そのときに布団を被せてください。そのようにすれば、建物の建設はうまくいくでしょう」。

 こういうアドバイスを得て、ほくそえみながら、チャラクブ(Chalakhkbu)、ソダティ(Sodhati)、ソブイ(Sobui)、ボブイ(Bobui)などを通って、マリパ(Malipa)の丘にあるショ・ショ・ダラダラ(Syo Syo Daladala)にたどり着いた。それからバウンガウン川(Baungaun)の土手にある女神廟で赤青の旗を捧げた。彼女はトゥルティナ・グントゥラティナに位置するシャセイタナ廟(Syaseithana)で銅鈴を鳴らし、一対の旗を捧げ、アクシャタを撒いた。

 トゥルティン・グン・トゥルテインから歩いて降りると、彼女は兄弟プバーンユンとシャバーンユにタカウン・ティピャー川近くのラーヤルクティで会った。彼女は兄弟たちに言った、「兄弟よ! シャーラーの大占星術師にして偉大なる祖母のハラララー、またハラデウェルの大占星術師もおなじ結論に達していました、つまり、真夜中に私は夜空を見つめ、お兄さんたちは地上を見下ろすのです。そのとき私は布団をお兄さんたちに被せ、いっしょにくるまるのです。そうやってすべてはうまくいくというのです。夜が明ける頃、ラーヤクティにはひとりでに王宮のような建物が建っていることでしょう。二兄弟と妹、つまり嫁とふたりの夫は、屋根を作るためにいろいろなものを集めなければなりませんが、こうやって願いは成就するのです。わたしたちの関係は不道徳的ですが、建物は望みどおり建つのです。これから私は囲炉裏の火が消えないよう火の番をします。お兄さんたちは暮らしをたてるために働かねばなりません。お兄さんはジャングルで鹿を追い求め、下のお兄さんは川で魚を釣らねばなりません。でも仕事はうまくいかないでしょう。というのは、とても罪深いことをしてしまったからです。ある日突然空は黒い雲で覆われ、危険な嵐がやってくるでしょう。結果としてお兄さんたちは精子を失ってしまうでしょう」