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 シムゾニア人の食生活に関して言えば厳格なベジタリアンだった。このような食習慣は道理があるというだけでなく、肉体的にもメリットがあった。シムゾニア人は頑丈で、30フィート(10メートル)もジャンプすることができ、200年以上の寿命があった。彼らの食生活は節制のひとつでもあった。最初に食事が運ばれてきたとき、驚いている彼らの目の前で、シーボーンは10分もしないうちに平らげてしまった。彼はしだいに欲望のままにすることの危険性を理解するようになった。

 

 動物肉食らいと大酒飲みがやめられず、過度にガツガツした人間の健康はすぐれず、食欲は失せ、厳格な節制、美徳、信心深さから脱線して惨めである。

 大評議会は最高人を議長とする会議を開いた。シーボーンは何キロも内陸に入った川中にある会議室に呼ばれた。そして最高人と会った。彼とスルイはボートに乗り、旅を始めた。

 

 われわれは川をさかのぼり、岸辺に着くと、そのあたりの風景は美しい、よく耕されたガーデンのような都市が現れた。風景全体にきっちりと整った低いビルが散らばっていた。人口過疎の悪徳と悲惨に憑かれた自然という愛らしい顔にできたこぶ(醜いできもの)のような都市群だった。均一的な見かけと人々の喜びが地域にいきわたっていた。ビルは安楽と便利さに十分なほどの大きさがあった。かといって巨大というほどではなく、飾り物がおおいわけではなく、所有者の誇りと愚行のモニュメントとして建てられたかのようだった。活動的な住人はみな何か役立つことに関わっているかのようだった。

 

 数日間彼らは川をさかのぼった。途中どこにとまっても、彼らは興味津々の群衆に囲まれた。外の世界からやってきた人を見たかったのだ。シーボーンはシムゾニア人が彼を気持ち悪がるというより憐みの眼でもって見るように極論主義者として描いている。彼は実際、食べ物や花々の贈り物で歓迎されていた。

 ようやく彼らはオーディトリーとして知られるアセンブリーホールに到着した。それは8エーカーはあろうかという巨大な建築物で、屋根の上はドームになっていた。それを見ながらシーボーンは恐怖を感じるとともに、賞賛せざるをえなかった。評議会はその日のうちに休会となった。ふたりはからのビルに入るのが許された。

 

 


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