(6)

 モーガンは緑色の液体を飲んだ。ガイドは酩酊させるもの(酒や麻薬など)の歴史についてレクチャーしながら彼をもうひとつの大洞窟に案内した。緑色の液体が効果を現したのか、そこで彼は背筋が凍るヴィジョンを体験した。

 モーガンは叫び声やうめき声を聞いた。そしてキノコから生き物が現れるのを見た。それは人間のような姿をしていたが、蛇のように身をよじって這い進んだ。それはモーガンをつかみ、「帰れ、帰れ。なんじよ、帰れ」と言ってキノコのなかに消えた。

 モーガンは怪物のようなものたちに襲われた。幻覚のなかには巨大な手があった。それは「帰れ、帰れ、なんじよ、帰れ」と、ささやきながら、指さした。

 その間もガイドはアルコールの有害な影響についてレクチャーしていた。地球の深部で滔々と禁酒のレクチャーをしているのだ! 「この特別な大洞窟は」と彼は言った。「酔っぱらいの巣と呼ばれているんだ」。そこの住人はアルコールによって怪物に変容されてしまうのだ。彼はモーガンに歩き続けるように言った。彼らはその大洞窟をあとにした。

 怪物のような生き物はなおもモーガンのまわりにうごめいていた。そのなかから天使のような顔を持つ者が現れると、彼にコップを手渡し、「生命の霊薬が入っているんだよ」と語った。それは至福の時を与え、そのあと地上に戻ることができるだろう、と言った。

 モーガンがまさにその液体を飲もうとしたとき、真実の顔が見えた。彼に向かって笑っている面の裏にある真の顔は悪魔だった。

「いやだ、飲みたくない!」モーガンは叫び、コップを地面にたたきつけた。怪物のような者は姿を消した。

 


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