（８）

　エドナはI AM運動の本部を自身とともにニューメキシコのサンタフェに移した。新たなスタートが必要だった。ガイの死、そして裁判から沸き起こった敵対的な刊行物が運動を傷つけていた。あきらかに運動の会員数は減っていた。法的な問題が解決したいま、エドナはサンタフェで活動をつづけていくことにしたのだ。縮小気味ではあったが、なおも活動的な運動のたったひとりのリーダーとして。

　彼女はリーダーとして適正であることを証明した。不満を持った元メンバーであるジェラード・ブライアンは彼女を、戦いに優れたアマゾンの首領のような「ダイナミックで、権威主義者で、好戦的な人物」とみなしている。サンタフェの新聞が彼女のことを悪く書いたとき、エドナはメンバーを送り込んで編集部を押しかけさせ、仕事を妨害させている。このあと２５年間、この強い意志を持った女性はI AM運動を維持した。

　そもそもはじめからこの運動の背後にいた最大のパワーの源は彼女だったのだ。ブライアンは受け取った手紙から引用している。

 

「わたしがガイ・バラードという男を知ってから３０年以上になります」と友人のひとりは言った。彼女はバラードが突如として力を得たことに驚いていた。「わたしが小さな少女だった頃、ガイがうちにやってきました。そのときは霊媒としての活動をしようとしていました。妻のエドナはといえば、つねに野心を抱いているといったふうで、装飾品をたくさんつけていました。でもいつも家族を愛する人間でもあったのです」

 

　オカルト文学に精通していたエドナこそがI AM運動の主要著者のようだった。ブライアンが言うには、初期のセミナーの頃、ガイの神秘的な体験に関する質問にたいして答えていたのはエドナだった。シカゴの家に一晩滞在した客によると、長い間机に向かっていたのはエドナであり、ガイはその間洗濯をしていた。また元マネージャーはブライアンに手紙を書いている。

 

「著作のほとんどはバラード夫人の手になるものと思われます。実際、夫婦といっしょにいたとき見たかぎりでは、彼女がボスでした。夫は夫人から言われたことをただやっていただけです。『魔法の存在』を書いたのはほとんどが彼女でした。それが書かれた頃私は彼らのところにいたのですから。この原稿を書くのに彼女は多くの時間を費やしていました。その間私はずっと彼らのもとにいました」

 

　ケネス・パオリーニとタリタ・パオリーニ夫妻（『４００年の想像上の友人：熟練者、マスター、アセンデッド・マスターと彼らのメッセンジャーの世界への旅』の作者）はつぎのように述べる。

 

　エドナ・バラードはおそらくI AM運動の著作の真の著者である。１９３０年、シカゴにおいて彼女は秘密を誓った人々から成る小さなグループとともにI AM運動をはじめた。彼らに対し彼女はペリーやスポールディング、その他のオカルト作家の著作を読み上げた。彼女は徐々に「講話」を紹介した。それはマスターたちから送られてきたのだとのちに彼女は主張した。そしてシャスタ山でサンジェルマンと出会ったガイの冒険の物語――それは彼らの最初の著作『明かされた秘密』となる――を語りはじめた。

 

　シカゴにはじまり、ロサンジェルスで花咲いたものは、いまサンタフェで継続されていた。忠実な信者に囲まれ、エドナは認証されたメッセンジャーとしての役割を果たすようになった。彼女はチャネリングによってアセンデッド・マスターたちからの――そしてガイからの――メッセージを得ていた。I AM運動の雑誌を編集し、組織化に力をそそいだ。

　しかし彼女が亡くなる１９７１年頃までにはメンバーの数が減少しはじめていた。運動の輝かしき日々は遠い昔のことになっていた。

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