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山々が神聖視される宗教的文脈において、山や洞窟から人が生まれるというモチーフは、ティセ(Ti se)山を中心とする数多くの地域に見られる。[訳注:ティセはカイラース山のこと。カンリンポチェと呼ばれることが多い]

例えば、ツェメ・ウーデン(Tshad med 'od ldan)の化身(トゥクパ sprul pa)であったシャンシュン(Zhang zhung)の王、トゥンヤル・ムトロ(Tun yar mu khrod)には息子がなかった。ある日、一人の牧童が王に告げた。放牧中の牛を追っていたところ、岩から声が聞こえてきたと。王はその場所へ赴き、岩をどけさせた。するとそこに、虹の光から成る八歳の少年の姿が現れた。

この物語には教義的な装飾が密接に結びついている。少年は問いに対して次のように答えた。すなわち、父は「空(トンstong)」であり、母は「セーワ・イェシェー(光り輝く超越的な意識 gSal ba ye shes)」であり、自身の光り輝く身体は「光(セー gsal)」と「空(トン stong)」が一体となったものである、と。また、自分は「生じざるものの広がり(キェー・メロン shyed med klong)」から来たのであり、「無限の法界(ガクメー・イン dgag med dbyings)」へと向かうのだとも語った。

しかしながら、仏教に由来する用語が用いられていることからもわかるように、これらはすべて後代に加えられたものである。ある程度までは、このボン教も民間信仰と同様に、地域によってその様相を異にしていると言えるだろう。共通する特徴はあるものの、そこには分類不可能なほど多様な宗教的観念が表現され、一方で、多くの力の本質的な性質は変わらずに保たれている。民間信仰の中に生き続けるそうした力や、それらに関連する神話の断片は、かつての宗教的世界の名残である。それらは、人の生や営みに介入する力への信仰が持つ根強さゆえに、仏教あるいはボン教の体系の中へと入り込むことができたのである。