ヨーガとアーユルヴェーダ 

1章 ヨーガとアーユルヴェーダ 

自己覚醒と自己ヒーリングの科学 

 

生命(アーユ)は、身体、感覚、精神、輪廻する魂のコンビネーション(サンヨーガ)である。
アーユルヴェーダはこの世界と向こうの世界双方において、人間にとって有益な、もっとも聖なる生命の科学である。

チャラカ・サンヒター スートラスターナ 1. 42 -34

 

ヨーガとアーユルヴェーダ 

 ヨーガはこれまで人類が発見した精神科学のなかでももっとも卓越したもののひとつである。それは多面のファセット(面)の光がわれわれの生命全体を意味あるものとして照らしてくれる形のいい宝石のようなものである。この精神的伝統は、五千年前からずっと滅ぶことなく、歴史を通じて発展が維持されてきた。人間と世界の本質を理解しながら、内から、外から、私たちの真髄に到達できるすべての力について述べていきたい。

 ヨーガの方法は私たちの存在のあらゆる分野に及んでいる。すなわち肉体的な、感覚的な、感情的な、精神的な、霊的な分野から、もっとも高度な自己覚醒にまで及んでいるのだ。それは人間における高度に進化した方法、すなわち身体の姿勢、倫理的修練、呼吸コントロール、感覚抑制法、肯定法、ヴィジュアライゼーション、祈祷、マントラ、複雑な瞑想法などが含まれる。ヨーガによって理解されるのは、身体の、微細な、形のない宇宙の本質と関係性が時空を超えた永遠性を見出されることであり、これらが個々の人間の内側にも存在することを示すことである。

 ヨーガはヒマラヤの賢者たちの教えの果実である。ヨーガの行者たちは、ヨーガの起源はこの世界文明サイクルのはじめ、すなわちおよそ1万年前とみなしてきた。より古い時代に霊的に進化した教えの伝統があったが、現在の文明はそれらをすっかり忘れてしまっているという。ヨーガは信じられないほどの長い間に無数の賢者の智慧から蒸留されたエッセンスである。それぞれの時代、それぞれの人間の要求に応じて、駆り立てられた精神性の遺産である。たとえて言うなら、より高く成長する潜在力を持った、そして強さと栄養を人々に与える、大きくて豪勢なバニヤンの木である。

 ヨーガとともに成長してきたアーユルヴェーダは、ヨーガのように、多層的な、変化にとんだ、持続的に発展してきた長い歴史を持っている。それはすべての時代のすべての人々にとって理にかなったものであり、驚くべきホリスティックな(包括的な)医療システムだった。それは健康と幸福のすべての側面、すなわち身体的、感情的、精神的、霊的なものすべてをカバーしている。それは食餌、ハーブ、エクササイズ、生活養生法からヨーガの実践や瞑想までの治療のあらゆる方法を含んでいる。アーユルヴェーダは個別の要素を理解しながらそれぞれの人や文化に洞察力を与え、世界の本質やより高度な自我と調和しながらやっていく方法を教えてくれる。自然の法則を深く理解することによってすべての生きるもののために最高の健康と発展を供与することができる。

 世界的な存在感を見せているヨーガの階梯にしたがいながら、アーユルヴェーダは精神=身体の医学のもっとも重要なグローバル・システムとして現れる。それは自然の言語、すなわち生命の言語をいかに理解するべきかを教えてくれる。そうして私たちは、私たち自身のためでなく、すべての生きものに恩恵を分けながら、偉大なる宇宙と調和して生きていくことができる。アーユルヴェーダは個人を癒すだけでなく、社会、すべての生きもの、そして地球そのものを上昇させるにはどうしたらいいか、その秘密を知っている。


(つづく)