カシミール・シヴァ派のヨーガ シャンカラナンダ 宮本神酒男訳 
1章 シヴァの恵み 


シヴァの恵み 

 混沌を超越した至高なるあなた、始源のない存在のあなた、秘密の奥底まで知り尽くした唯一無比のあなた、すべてのもののなかに憩うあなた、動くもの、動かないものを問わずあらゆるもののなかに見出されるあなた、シャムブーよ、私はあなたに帰依します。(シャムブーはシヴァの異名のひとつ)

アビナヴァグプタ『パラマルタサラ』詩篇1 

 

 60年代後半私は米国のミッドウェスタン大学で文学を教えていた。文学研究者として、また大学教師として、私は成功を収めつつあった。しかし運命は別のプランを持っていたようだった。1971年頃までにはインドのガネーシュプリのアシュラムで、ババ・ムクタナンダのもとに暮らすようになっていたのだから。厳しい修行と瞑想と奉仕に明け暮れるというまったく新しい生活がはじまっていた。

 そのように人生の要素のひとつひとつが一変した。それらは微妙であったり、感情的であったり、不合理であったりした。自分の一生について、どのように語ることもできるのだろうけれど、その際立った部分というのは重大な方向転換にあった。これについてこれから語らせていただきたい。