2部 占星術の実践 

イントロダクション 

暦と実践的占星術 

 チベットでは暦と占星術は別物であるとは考えられていない。すべてのチベット人は占星術の表を見ながら日々の生活を送っている。こうしてかれらは自分たちの存在を宇宙のリズムと調和させているのだ。一瞬、一瞬が力というものをもっている。そのことにひとたび気づいたら、人はこの力を見ないわけにはいかない。かれらは宇宙と調和しながら生きていくことになる。

 こうしたことを意識しながら、チベット人はロト(lotho)と呼ばれる年間暦を用いる。おりごとにかれらはこの暦を参照しているのだ。占星術の専門家たちによって編纂されたこの暦(アルマナック)は、その年や月々の占いを含むカレンダーである。一日ごとの、あるいは月ごとの占星術表は個人にも、一般にも適用される。似たようなアルマナックは、中世のヨーロッパにも存在したが、今日まで残っているのはごくわずかにすぎない。論理主義が一般的になることによってしだいにそれらは姿を消していったのだ。一方、チベットではそうではなかった。ここでは暦は依然として宇宙サイクルの表現であり、生活のリズムを整えるには欠かせないものである。

 暦の基礎部分は中国起源である。年や月、日は動物と元素であらわされる。一年は12の太陰の月からなり、ひと月は30日からなる。一日は12時間のセットふたつからなっている。

 占星術の基本である元素(行)、三重線(卦)、メワ(宮)はすべて年、月、時間に適用される。これらに28の星座、惑星のサイクルを通過する月の影響や、カーラチャクラ起源の12の縁起が加味される。ある日が吉か凶であるかを見るために、これらの元素とそれらが同調しているかいないかを心にとめる必要がある。

 中国とインドの占星術はチベットの暦とよくリンクしている。月のサイクルにおいてそれらは共通の基盤をもっているのだ。