バガン壁画礼賛 バガンで途方に暮れる 
<(ウェッチーイン)グービャウチー寺院> Wetkyi-in Gubyaukgyi 














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 2つのグービャウチー寺院のうちウェッチーイン村のほうは、ティーローミンロー王時代(在位12111234)に作られた仏教への情熱が感じられる寺院だ。というのも屋根の上のヴィマナと呼ばれる部分などはあきらかにボードガヤ(ブッダガヤ)のマハーボーディ寺院の影響を直接的に受けているからだ。もっとも、オールド・バガンのマハーボーディ寺院は本場インドのマハーボーディ寺院のコピーそのものなのだが。このように当時のバガン朝は、駆られるように古代インドをまねて、仏塔を建てようとしていた。

 ブッダガヤの寺院に似せて作られた 

 グービャウチーとは、偉大なる(壁画が)描かれた洞窟寺院という意味である。寺院の内部に描かれたジャータカ(ブッダの前世物語)のパネル壁画は由緒あるものなのだ。仏教壁画は説教的(didactic)と装飾的(decorative)に二分されるが、これは前者。寺院を訪ねた者は壁画を見ただけで仏教を学ぶことができるのである。

 ところでこの寺院のパネル壁画の多くが、1899年、ドイツの冒険家テオドール・トーマンにはがされ、持ち出されてしまった。これらオリジナルの壁画はどこへ行ってしまったのだろうか。大英博物館やベルリン博物館に保存されていればまだしも、紛失したならば、トーマンのような行為は窃盗とみなされても不思議ではない。