クリスチャン・サンニヤシ(托鉢僧) 

 前述のように、彼がベナレス(ワーラーナシー)を訪ねたのはこの時期だった。スンダルの説く福音にたいし、ヒンドゥー教のサドゥーと思われる聖者が同調してくれたことに彼は驚いた。しかし聖者と話をするうち、もっと驚くべきことを知る。この聖者もまたクリスチャンなのだった。サンニヤシと呼ばれるキリスト教サドゥーだというのである。(サンニヤシはヒンドゥー教の托鉢僧とう意味)

 聖者によると、彼らの信仰は表に出さず、ヒンドゥー教徒として生活し、機会が到来したときに福音を説くのだという。彼らは教会をも持っていたが、表向きはヒンドゥー寺院を装っていた。内部にはヒンドゥー教の神像は存在せず、かといって十字架やキリスト教のシンボルがあるわけでもなかった。この偽寺院のなかで彼らは洗礼式や聖体拝領式を行うと言う。

 クリスチャン・サドゥーの話は本当に驚くべきものだった。彼が言うには、想像する以上にこうしたキリスト教徒は多いのだという。スンダルは、このようにひそかに信仰を保っていることに感嘆したが、同時に、それは自分のたどる道ではないと考えた。

 


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