ドキュメンタリー・フィルム
『インドのイエス』(2008)
フィルム制作 ポール・デーヴィッズ 案内人 エドワード・T・マーティン
イエスの旅を求めて旅に出た
「エド」ことエドワード・T・マーティンは、キリスト教原理主義的な空気が支配するテキサス州の小さな町ランパサスに育った。家族といっしょにファースト・ストリート・チャーチ・オブ・クライストに通っていた幼いエド少年に、ある日、イエスは12歳と30歳のあいだ、どこで何をしていたのだろうかという疑問が芽生えた。おとなに質問をしても、「神様はそんなことを聞かれるのを望まれていない」という通り一遍の答えが返ってくるのが関の山だった。
アラスカ大学で文学士を取得後、エドは平和部隊に入り、70年代のアフガニスタンに赴任した。その後もフィジーやサウジアラビア、パキスタンで教師を務め、ランパサスに戻ってからは地元の新聞のスタッフ・ライターとして働いた。この経歴のあいだも、イエスの失われた18年のことが忘れられず、疑問はますます膨らむばかりだった。彼は次第に旅にのめりこむようになり、アフリカからペルーまでさまざまな地域を旅し、それについて書くようになったが、イエスのことは片時も頭から離れることがなかった。
1999年、エドはついにテキサスの自宅を売り払ってその資金で本格的に調査をすることにした。このフィルム『インドのイエス』はそんなマーティンがポール・デーヴィッズと出会うことによって実現した作品である。アカデミックな学者のアプローチとはいかないが、「インドのイエス学」の形成に寄与したさまざまな人に効率的に会い、インタビューを試みているのは評価されるべきだろう。
⇒ つづく
一見インドの文字風だが、「Jesus in India」と書かれたタイトルバック。
イエスの謎の18年間を研究するために家まで売ってしまったエドワード・T・マーティン。
イエスは12歳の頃、エルサレムの神殿で祭司らと論議を交わしていた。そのあとどこで何をしていたのか、聖書は教えてくれない。