第2章 16 汚物魔除け(中) 人の汚物
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人の糞尿を用いて災難を除き罪を消すのと、牲矢駆邪法は同一の原理によるものである。可能性の話でいえば、戦国時代にはすでに犬矢を投げて大神を撃攻撃する「犬矢をもって入浴する」ことは流行していた。人糞スープを用いて鬼を退治する方法の起源はかなり早い。
清代の小説中、人の糞尿を投げつけて鬼を攻撃する場面は多い。これは当時の人が現実的にこの呪術をおこなっていたことを反映している。清代の李王逋は『蚓庵瑣』のなかで、木炭精が変じた少年が毎日きれいな農婦のもとにやってきてまといついたと述べている。このとき以来農婦の家の中は怪異現象が絶えることがなかった。のちに農婦に何が起こったか、姑が語っている。
「あたしゃ妖邪汚物を恐れるって聞きましたよ。翌日妖怪がまたやってくると、そいつを尿桶に押し込んだんです。あたしと家族の者はそれを家の外の地面に埋めました。なかで何かがじたばたしているのがわかりましたので、それを救いだしたのです」
この農婦のはかりごとは成功した。尿桶に押し込められていた少年は全身汚物だらけになりながら叫びつづけた。「きたない、きたない」と。そう叫びながらだんだん小さくなっていった。家族の男たちはしばらく待って、そいつにつかみかかると、あらたに桶に入れ、蓋をした。桶から声が聞こえなくなると、人々はそれを家から離れたところに持っていった。そして妖怪が焼け焦げたただの野桑の木にすぎないことがわかった。