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 人屎は古代には「輪回酒」「還元湯」と呼ばれ、医家はつねに中邪(鬼神にとりつかれた病)、難産、打撲鬱血、蛇・犬の咬傷など多くの疾病・怪我の治療や怪我に用いた。方士らはこれら小便を飲んで寿命をのばした。たとえば後漢の「甘始、東郭延年、封君達の三人はみな方士だった。御婦人の術をよくし、小便を飲み、逆さになり、精気を惜しみ、大言を慎んだ。三人とも百歳以上生きた。

 小便を服用することが、信じている人たちが言うようにとても優れた方法といえるのかどうか、はっきりしない。この方法の起源から考えるに、濊物駆邪法を神秘的なものと考えていたことと関係はありそうである。

 葛洪は言った、猝死射を治すには、「人の小便を(猝死者の)顔に数回そそぐ。するとすぐに話し始める。これは扁鵲の法である」。また言う、腹中の胎死(胎児の死亡)を治すには、「夫の小便を一升飲む」。死んだ胎児はすぐに下る。

 別の医書に言う、女性が出産後気絶したまま醒めない場合、「男子の小便を口に注ぎ、腹に一升入れたら、おおいによろしい」。専門家の研究によると、古代の術士は尿液中から「返老還童」(若返って子供のようになること)の宝丹「秋石」を精製することができた。それは即効性のある性刺激剤だった。ただし「秋石」を精製するのは容易ではなく、ほとんどの方士はそれを得ることができず、精製したものは実際普通の無機塩にすぎなかった。

 もし甘始らの言う服尿法が少しでも理にかなっているなら、葛洪らが言及した上述の医方はなぜ巫術扱いされねばならなかったのだろうか。