第3章 01 雨乞い(上) 竜蛇感応呪術 

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 古代中国の雨乞い巫術(呪術)には二つの系統がある。

一つは殷代の「舞」法や周代の(う)祭、すなわち雨乞い祭にはじまり、漢代以降、陰陽学説の指導のもと、あるいは土竜感応術を核心とすることによって発展してきた総合的な巫術活動である。のちに蛇、トカゲ、各種の竜の図像、およびたとえばこれら霊物によって、日照りをなくし、雨を求めるとき、伝統的な礼(雨乞い儀礼)を引き継いでいるとみなされるようになった。

もうひとつは、商代の「(こう)」法から生まれた巫術であり、「燎」法や「(ゆう)」法とも関連している。それらの目的は日照りの災害に至らしめた罪人や妖怪を焼き払うことである。古代の帝王や大臣は自ら焼き払いの儀式を行って雨を求め、火刑や日晒しの懲罰を巫師(シャーマン)に与え、形式的に旱魃(妖怪)を焼く活動をした。

 これらの雨乞い呪法は巫術の実践のなかで互いに影響しあい、混交し、結びついてきた面がある一方で、やりかたに違いがあり、歴史的な根源も同じではないので、独立した別々の系統とみなされてきた。



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