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こうした助けを求める各神霊の煩瑣な呪文はさまざまなものがある。道家にはまた「婆珊婆演底(ばさんばえんてい)」のような簡単な呪法がある。[訳注:これは密教のマントラである]
孫思邈は言う。もちろんいい夢か、悪い夢か、人にあれこれと述べる必要はない。ただ朝早く起きて口に浄水を含み、東方に向かって噴射し、「悪夢着草木、好夢成宝玉!」(悪夢には草木が生えよ、好夢は宝玉となれ)と唱えればいい。そうすれば災咎(災いや咎)が免除される。
道士は常々符籙を用いて悪夢を圧伏する。三国時代術士の管輅[209-56]に選者の名を托した『夢書』に言う。「昔黄帝は悪夢を圧するために十二符を画いた。日の出の太陽のような誠意で篆書を書き、東に向いて口に含んだ水を噀(ふ)き、符を手に取って呪文を唱えた。
赫赫陽陽、日出東方、断絶悪夢、辟除不祥、急急如律令!
これを七度唱え、符籙を佩帯する、あるいは貼ることを求める。すなわちこれで凶を除き、吉を呼び込む。
禳夢(じょうむ)法は符呪と呼鬼名法のミックスである。敦煌文書『新集周公解夢書』第二十三章「圧攘悪夢」にその方法が記されている。
「およそ人は夜悪夢を見るもの。早く起きて人にこの(悪夢の)ことを話してはならない。その心を敬虔で清らかにして、黒書[朱墨でなく黒墨を用いるということ]の符を臥床(寝台)の下に置く。人に知られてはいけない。そして呪文を唱える。
赤(赫)赤陽陽、日出東方、此符断夢、辟除不祥、読之三遍、百鬼潜蔵、急急如律令!
夫悪夢姓雲名行鬼、悪想姓賈名自直?
吾知汝名、識汝字、遠吾千里、急急如律令勅(ちょく)![または姓子字世瓠、吾知汝名、識汝字!]
「赤赤陽陽」から「急急如律令」まで一つの独立した呪文である。既述の『夢書』の駆夢呪と比べると、両者が十分に近いことがわかる。呪文の後半部は、伝統的な駆夢呪に追加した呪文である。これは呼鬼名法と呼ばれる。大意はこうである。
我はあなたの名と字(あざな)を知っている。あなたは雲行鬼といい、または子世瓠という。かりにも「賈自直」といった名を用いて欺いてはいけない。
「悪想」というのは平叙文に用いられる語句で、「悪夢」と同義である。