第3章 11 分娩のタブーと産気づけ呪術 

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 難産およびそれと関連した病は、古代の女性にとってもっとも死亡率の高い疾病だった。『医心方』巻23に引く「小品方」に言う、「いにしえの婦人が子供を産むとき、草の上に坐すると、あたかも死ぬかのごとく見える。ようやく出産すると、難を免れることができたといわれる」。古代中国の分娩タブーや産気づけ巫術はとくに発達してきた。この背景には何があるのだろうか。

 難産とその他の分娩時の病気に焦点を絞った巫術の目的には、予防と救急の二種類がある。そのうち血の穢れのタブーと関連した廬(いおり)での立式分娩法と妊婦借地法、反支(分娩の時間、時期の)禁忌および関連した呪術、坐式分娩および坐姿の規定、禁坐草法、禁水法などはどれも予防の巫術(呪術)である。



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