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段成式が書いたように、十丈の長さの蚺蛇(アナコンダ)は鹿を呑みこむことができるし、それが消化されるのを樹上にトグロを巻いて待ち、鹿の骨を吐き出す。体を休めている間のアナコンダにとって肉の味は極上に思えるだろう。大蛇は鹿を呑み込んで食欲を満たしたものの、エネルギーは使わず、女人が服を投げ込むと、うずくまったまま、動こうとしない。これは実際古代の女子汚濊物駆邪法である。
宋代の民間に流布した辟蛇法術は、多くは端午節に実施された。たとえば五月五日の午時に「儀方」も二字を書いて家の柱の下のほうに貼る。これで蛇虫を避けることができる。
湿気があり、汚らしい場所があったなら、そこにはマムシが棲んでいる。そういう場所には「儀方」と書いた瓦を放り込めば、蛇は自ら逃げていく。あるいは山林に入り、黙って「儀方」と唱えれば蛇に遭うことはない。
端午の午時に朱砂で書いた「荼」の字を家の壁に貼る。「蛇、蠍(さそり)、蜈蚣(むかで)は近づこうとしない。
逆流の水を用いて墨を溶き、「竜」の字を書いて四面の壁の柱に貼ると、同様に蛇蠍の類を駆逐することができる。「荼」は神荼の略称であり、竜は蛇の首領である。彼らは圧伏された蛇類の大神とみなされるのだ。「儀方」というのは一種の神霊の名称である。神名をさかさまに貼ることを要求されるが、住まいに蛇を制した神があるとするなら、頭部が下を向いていれば、天から降ってきたという意味になるからである。