第3章 16 その他猛獣害虫の祓除 

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 小は蚊や蝿から大は虎や狼まで、人間にとって有害な自然界の生き物はどれも巫師(シャーマン)の取り組む相手だといえる。これに関した呪術のなかでもっともよく用いられる方法は気禁と呪符である。

<辟虎狼> 

 漢代の方士(呪術師)は、ヒキガエルの血が虎や狼などの猛獣を制御する特殊能力を持つと認識していた。五月十五日、一匹のヒキガエルの皮をはぎ、血を取る。その血を一尺の新しい布に塗り、それで頭を覆い、東の方向に向く。すると予想もしない効果を得ることができる。

「百鬼よ、牛、羊、虎、狼よ、みなこちらに来て坐してこれを見よ」。

 呪術を行う者は動かず、静かに座るだけでいい。召喚された鬼魅や動物は「みな須臾(しゅゆ)に去る」のである。虎狼を召喚する術はもともと虎狼を辟除する力を持っている。呪術師が荒野で呪術をおこない、無人の場所に虎狼を集めれば、村人は猛獣の害を受けずにすむ。予定地点で待ち伏せし、虎狼を集めて撲滅するのである。