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Ⅲ 生魂捕獲 

 生きている人の魂魄をコントロールするのは古代巫医がつねに用いてきた法術だ。その手法と復(よみがえり)礼はほぼおなじである。收生魂(離れていた魂を収める)はおもに治病に用いられる。もしある人が驚いて魂を失ってしまったなら、巫師はすぐに招魂(魂を呼ぶ)し、返体(体に戻す)をしなければならない。このほか、巫師はきわめて強いパワーを持つ黒巫術(黒魔術)を用いて他人を攻撃し、生きた魂を回収することがある。

 太守(郡長官)の酒席で楊居士が歌姫の魂魄を招き、演奏させ酒をつがせたという故事(エピソード)を唐代の張(詩人)は書き記している。清代の紀昀(きいん)は撮魂術(魂を捉える法術)を用いて嫉妬深い女に懲罰を与えた故事を書いている。袁枚は婦女の生魂を招いて交わったという妖術を記録している。これらのエピソードから古代の士大夫が生魂捕獲術という迷信を信じていたことがわかる。