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 採生(人を捕獲して殺し祭礼を行う)して偶像に魂を入れる法術はすでに宋代にできあがっていて、元、明代の人は「採生妖術」と呼んでいた。採生妖術自体が十分ブラックマジックであった。

この術を行う者は、人を殺したあと死者の五官[目耳鼻口舌]、手足の指、心臓・肝臓・肺などを割いて取り、干し、粉にして、収蔵する。また死者の頭髪、五色の彩絹、五色の絹糸を偶像(多くは紙像)にくっつけて、呪符を利用して偶像を遠隔操作し、他人を攻撃する。

これがまさに收生魂法、役鬼法、偶像祝詛術が融合して一体化したあとできた総合的な巫術である。それと漢代以降の巫蠱術に代表される典型的な偶像祝詛術とは区別すべきだ。採生妖術が使用する偶像はただの象徴で、死体として提供される人は、攻撃対象の人の代わりとなるものではない。それは侵攻するときの武器であって攻撃目標ではない。

 術士はこの種の偶像に死者の魂が付着すると認識している。それは空中に飛び出して、門を破り、窓から侵入し、叫び声を発して相手を威嚇する。彼らは偶像を地下に埋めることも手を縛り、心臓に釘を打つこともできない。