第4章 10 隠身呪術 

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 隠身法術(呪術)はおもに十分に兵禍を防ぎ、危急を救うのに必要とされ、作られるものである。その用途を見るに、御敵辟兵術(敵を防ぎ兵を退ける呪術)の範疇に入るようだ。

 古代の隠身術には「坐在立亡」(坐れば姿が見え、立つと見えなくなる)と「移形易貌」の二種類があった。坐在立亡とは、公衆の面前で突然その体を消すことである。一説には隠身者はこのとき衆人のなかにいるとも、昇華して雲の上の人になっているとも、九地の下に入ったともいわれる。移形易貌とは、呪術師が本来の形を変え、草木や動物、水、火、老人、子供、女性に変身するともいう。この法術の目的は真の形象を隠すことである。他人には識別しがたく、古代の呪術師はこれらを「隠(沈)の道」「隠形変化」の術と呼ぶ。

 隠身術と他人を攻撃する巫術は同じではない。その宗旨は自我を改変することである。隠身術は神力を借りて、隠形霊物の力量と才能を完成させなければならない。追及するのは土行孫(『封神演義』の登場人物)式の隠遁術であり、その本質は巫術に属す。