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<鳥・鶏の羽根と爪>
馬王堆漢墓出土の『雑禁方』に言う、「二羽のメスの隹(スイ)の尾を取り、じっくりあぶって、これを飲みこむ。微(媚)なるかな」。また言う。「オスの隹の左蚤(爪)を4つ、小女子の左爪を4つ取って、炊器でよく炒り、溶かし、塗りつける。これで人を得るかな」。この隹(スイ)は鳥類を指している。この二つの文は、それぞれ鳥の尾羽を取ってあぶり、粉末になるまで搗き、水に入れてよく混ぜ、飲み込む。すると相手は人の歓心を買おうとするようになる。
オス鳥の左足の爪4枚、少女の左手の爪4枚を取って、鍪(ぼう 兜あるいは炊器)の中に入れ、炒って、粉末になるまでよく混ぜる。相手の衣服、あるいは体に塗れば、相手を得ることができる。
後代の術士は雄鶏の羽根と爪を多く用いた。古代の方術書『雑五行書』に言う。「婦女を欲するなら、雄鶏の二本の羽根を取って焼き、酒の中に入れてこれを飲む。すると必ず欲しいものが得られる。戊子の日は天地が合わさる日であり、必ず得られる。三度行って得られないなら、女は死ぬべし」。
古医書『枕中方』に言う、「人が婦女を求めるも得難ければ、雄鶏の羽根を27枚取って、焼いて灰を作り、これを酒に入れて服用する。かならず得られる」。『延齢経』にも言う、致愛者は「雄鶏の左足の爪を、嫁入り前の女性の右手の中指の爪を取り、焼いて灰を作り、かの人の衣の上に撒く」。『延齢経』の引用箇所と『雑禁方』の二番目の文はよく似ている。それは漢代の古い方法が変化してきた結果といえるだろう。術士は雄鶏を辟邪霊物とみなしてきた。かつ鶏と鳥を同類として扱ってきた。これにより雄鶏の爪はオスの烏の代用品とすることができた。