第4章 14 女性の淫蕩や嫉妬を止める呪術 

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 古代の止淫止嫉法術は男性の巫術(呪術)である。前者(止淫)は女性の淫蕩不貞を抑え、後者(止嫉)は女性の嫉妬を解消する呪術である。

 女性は掃除などの家庭の労役を課せられ、子孫繁栄のための生育器械の役目を負わせられた。女性にのみ淫蕩を禁止し、社会は彼女らに圧迫と束縛をあたえるようになった。戦国時代以来、ますます礼制(礼儀制度)が厳しくなり、淫蕩は「七出」の一つとみなされるようになった。[七出とは妻を離縁する七つの理由]

 唐代から明清代媚いたるまで法律は「三不去」(妻を捨てることのできない三つの条件)を引用することが多かった。三不去とは、妻と離婚することのできない三種の制限のこと。ただし不義の罪を犯した場合はこれに当てはまらない。統治者は淫蕩行為に対してはひどく憎悪していたのである。しかし法律によって制裁を加えても、世論によって社会的制裁を与えても、淫婦蕩婦の出現を抑えることはできなかった。ここで道徳的に、法律的に足りない部分を呪術師が補う余地が出てきた。巫術によって妻や妾の頭の痛い問題を解決することができたのである。