第4章 17 孝行を促し、いざこざを除く呪術 

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 人を孝行にし、いざこざを除去する巫術は古代の家族の需要に適応する。中国の伝統文化の基本的な特徴は、宗族・家族の組織が厳格かつ頑強で、長期にわたって関係がつづくことといえる。中国人がとくに評価し、重視するのは孝道である。それは家族制度の産物といえるだろう。秦以前の宗族、君主に統一されていた時代、「孝」は社会倫理であるだけでなく、政治規範でもあった。戦国、秦、漢代以来、個人と小家庭の独立性は強まったけれど、かえって家族の抑制から逃れることはできなかった。家族組織を強固にし、孝道は自然ともっとも影響力のある道徳の概念となった。

古代中国の社会は家族に対して、とくにとくに女性に対し愚弄、口論、言いがかり、邪推などをすれば厳しく批判され、制裁を受けた。しゃべりすぎることと父母に従わないことは、ともに「七出」の一つとされた。父母に従わないと、家長の威厳を損ね、家族の求心力と凝集力を削減した。しゃべりすぎもまた紛糾をもたらし、口舌(いざこざ)と同様家族を分裂させ、家族の生活の大敵となった。孝道を維持し、口舌(いざこざ)を消滅させることは社会の通念であり、文化の伝統だった。巫術はそういったことを実践したのである。そこから中国の特色のある新しい巫術(呪術)が生まれてきたといえるだろう。