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『物理小識』巻十二は先人の言葉を引用して言う。「思螺(しら)、鶴草、これを着ければ孝順になる。松に似た小草は寝室に置いてはいけない」。思螺は師螺(しら)、俗名蝸螺(から)、螺螄(らし)など。南方でよく見かける。形はカタツムリに似る。「指の先ほどの大きさで、その殻は田螺のように厚い」。思螺を着けて人を孝行にさせる。あるいはその殻から離れない蝸螺(から)の義を取る。
鶴草が何を指すかわからないが、「致愛」のところで述べた鶴草あるいは鶴子草とおなじかもしれない。鶴子草と鶴子草に生まれた媚蝶[鶴子草に生まれたとされる蝶]は、どちらも致愛霊物(愛の縁起物)である。
愛と孝は相通じるものがある。ゆえに転化して孝に至るものとされた。「松に似た小草、寝室に置くな」と強調するが、このような鋭利な針のような棘をもつ草は、互いに譲らないとげとげしい緊張した気分を伝えるものである。
張宗法は言った。「井華水あるいは香草と泥を混ぜてかまどに塗る」。そうすれば「子を孝順にさせる」。張氏はこの香草が何か説明していないが、おそらく鶴草の一種だろう。