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方以智が引用する別の致孝(孝順にさせる)法術は、致愛(愛させる)法術が転化して致孝術になったことを明示している。この法術は、「生理布(今でいうナプキン)にカエルを包み、それを厠(かわや)の前の地面を一尺ほど掘った穴に入れ、埋める。すると(婦人は)孝行になる」というものである。

 この法術と上述の『淮南万畢術』に記載される赤布致愛法(赤い布、すなわち生理布を用いて愛させる法術)と、『博物誌』に記載される止妬法(嫉妬を止める法術)は完全に一致する。伝統的な法術を応用し変化したものであることは疑いない。しかしその変化はまっとうされたわけでなく、法術の本体自体は何も変わっていない。

その法術の論理によって、女は立ち去るのをやめ、嫉妬の気持ちも消えるだろう。彼女は夫に絶対服従するだけでなく、夫の両親にも服従することになる。この法術は愛させるだけでなく、ほかの行ない(孝行)にも適用されるのである。