(4)
魏晋南朝時代、「蜻蜓(トンボ)変じて青珠となる」という伝説が流行した。『博物誌』「戯術」に言う。「五月五日、家の下に、頭を西向きにトンボを埋める。埋めて三日、食べないでいると、青い真珠と化している。正門の下に埋めるともいう」。いわゆる「埋至三日不食」だが、三日食べることができないのはトンボを埋めた者である。
晋司馬彪『荘子注』は似た話を収録し、ある童子がトンボの頭を埋め、食べずに舞い、舞ながら「これぞまさに珠なり」と叫んだ。その痴れたさまを見た者は笑った。
一部の道士はとくに「青色大眼(青い大きな目)」のトンボを信仰した。トンボの目だけが青珠に変成すると考えた。
明代の術士は赤いトンボから房中(房中術)の薬物を製造した。地面にトンボの頭か目を埋めれば、それが青い珠になっているという。トンボを埋めるのは、富を得る近道なのである。とはいえこの法術は青蚨還銭術と比べると検証しやすいこともあり、それほど広がることはなかった。