魔術師の猫 

 フランスでは黒猫はマタゴ(matagot)すなわち魔術師の猫として知られています。この種の猫を迎えた運のいい家族は、幸運と繁栄に恵まれることになります。この猫には極上の食べ物が与えられ、家族の一員として愛され、甘やかされます。真っ黒の猫は、民衆から魔女の猫とみなされてきました。そしてこの真夜中色の猫は、魔術をもたらし、夜のミステリーのシンボルとされました。魔女の夜行性の猫は、月の光によって治療用のハーブや魔法のハーブを集めるワイズ・ウーマン(賢い女)やヒーラー、カニング・マン(悪がしこい男)の助手です。故ドリーン・ヴァリアンテは『ウィッチクラフトのABC』のなかでそれがベストであると語っていました。「オカルトパワーが猫と結びつくという考え方は、古代の魔女物語の最強の生き残りのひとつである」

 ブルターニュには、ミステリアスな「マネー・キャット」(招財猫)すなわちシャ・ダルジャン(chat d’argent)についての同様の伝説があります。あなたの家には公にはされないが、際立った猫がもう一匹います。この種の猫はあなたに道徳のテストを課すにちがいありません。猫を招き、マネー・キャットとして扱った人間だけが恩恵を受け取ることができるのです。これら魔法のマネー・キャットが何色であるか、どんな品種であるかは気にする必要はありません。あなたはつねに推測しつづけるのです。興味深いのは、暗い色のマネー・キャットが金を運んでくると信じられていることです。白い色の猫は銀を主人のもとに運んできます。もちろんそれは猫たちが丁重にに扱われたときの話ですが。