4章 (要約) 

 パドマサンバヴァは発生した疫病に対処するよう、ナーガの世界から招待された。じつは疫病をひそかにもたらしたのは、パドマサンバヴァ本人だったのだが。

ナーガ王ツクナ・リンチェンは感謝のしるしとしてたくさんの宝石をパドマサンバヴァに贈ろうとした。しかし偉大なる大師は拒み、そのかわりツクナ・リンチェンの娘イェルガ・セイデンを献じてもらいたいと言った。

 パドマサンバヴァの命令を受けて、ツクナ・リンチェンが娘に携えていくものをたずねたとき、彼女は、資産や宝石ではなく、ナーガ族が「ルブム・ポティ・チュドゥク(プラジュニャーパーラミター十万頌16巻)」と呼ぶ聖なる経典を持って行きたいとこたえた。これはナーガの世界でもっとも重要な経典だった。

 彼女はまた、乳を無尽蔵に出すディ(雌ヤク)、星が透けて見える高質素材のテント、「底なし」の黄金の食べ物の壺、永遠に渇きをいやす聖なる飲み物などを要求した。

 父親はもっとも高価な宝物を手放すことに気が進まなかったが、娘の要求にこたえる歌をうたい、ナーガの「願いがかなう」宝石をたんまりと贈った。

パドマサンバヴァは彼女を人間世界に送り、ゴクの王ラロ・トンパ・ギャルツェンの庇護下に置いた。