第6章
この章の最初の詩で、ジョルが悪魔を調伏し、トトゥンのウソを破壊するさまが歌われる。彼は占い師や医者らを試す。
はじめジョルは馬に乗って、グルという名のせむし男の乞食とともに進む。ジョルは彼に言う。
「ぼくたちはふたりとも乞食だ。だからもらったものは分けあわなければならない。もしぼくが賞品をもらったら、きみにも分けるよ。だからもしきみが勝ったら、ぼくに分け与えないといけない。どう思う?」
グルは貧しかったけれど、誇りは高かった。彼は傲慢にこたえた。
「おれは金持ちの連中と比べたらかなわないけど、ジョル、おまえと比べたらおれは金持ちだぜ」
それからグルは得意げに、自分がすぐれていること、持っているものを自慢し、「おまえには何もやらないからな」と言ってのけた。
つぎに、ジョルは疲労と栄養不良から病気になったふりをして、医者を試した。医者は彼の脈を診たつもりだったが、じつはそれは馬の牽き縄だった。医者は自信を持って、ジョルはどんな病気にもかかっていないと診断を下した。
「おまえの体は、内も外も、病気のかけらもない」
そしてジョルは占い師と会い、競馬の結果を占ってもらった。ジョルは、もしこの勝負で勝ち目がないという占いが出たら、これ以上走ろうとは思わないと言った。しかしながら占い師はジョルのなかに可能性を見出した。彼はひもを使い、結び目を作り、空、地、水と関連づけて占った。
「おまえの力は蒼穹のように、大地を覆うほど大きい。もしおまえが席を取ったら、それを保ちつづけることができるだろう。おまえが築く基礎は、大地そのもののように不変だ。もし王位を取ったなら、おまえは価値あるリーダーとなるだろう。そしてすべての生きるものに、恩恵をもたらすだろう。大河や小川は自然に集まり、大海に注ぐだろう。もし水がはるかかなたの岸で消えるようなことがあっても、また戻ってくるだろう。これ以上によい占いはないだろう。おまえは走りつづけなければならぬ!」
ジョルはまた、魔術を使って変装し、兄弟のギャツァをいじめ、挑発する。それから本来の姿にもどり、嘲笑った。