第7章
競馬の競技の間、ジョルはほかの戦士たちを試したり、からかったりしている。ケサルのほかの基本的な守護神と同様、守護女神ネネイ・ナムメン・カルモがある時点で現れ、彼に急ぐよう促している。
「これ以上ぐずぐずしないで。さあ急ぎなさい!」
彼はすでにトトゥンの息子、ドンツェン・ナング・アペルを抜いた。ドンツェン・ナング・アペルの馬は、ケサルの戦神ダラによって捕えられ、投げ飛ばされていた。
しかしそれでもドンツェン・ナング・アペルは歩いて玉座に近づき、勝利を宣言しようとした。しかし戦神ダラはその距離を伸ばし、彼が到達しないようにした。
一方のジョルは速度を最大限に高め、玉座にだれよりも先に触れた。そのとき分身の術を使っていたので、分身のひとりはドンツェン・ナング・アペルの馬を殺していた。
ジョルは競馬に勝利し、リンの黄金の玉座に坐った。ひとたび事が達成されると、それまで醜く、みすぼらしかった少年は光り輝くリンの国王になっていた。
彼はケサル・ノルブ・ダドゥという名前を授与された。これによって彼が目覚めた活動をおこなうための最後の条件が満たされた。
だれも楽器を奏でているわけでもないのに、国中に音楽が流れた。すべての神々や人間が集まって吉祥を喜び、祈りをささげた。