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 ケサルはリンの人々を集め、彼がしなければならないこと、それをひとりで、助けなしでやりとげなければならないことについて、彼らに説明し、理解を求めた。それゆえ彼の家族や軍隊が心配したにもかかわらず、ティルティカ(外道)の領域への出征を決めた。

 出発の日、ケサルは愛馬キャンゴ・カルカルにまたがった。彼の母、妻、仲間の戦士たち、その他リンのすべての人々が境界まで見送りに行った。ケサルがリンの域外に出ていき、姿が見えなくなったときは、だれもが涙を流した。