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リンのなかでも、とりわけトドンは欲深い考え、嫉妬深い貪欲でいっぱいの男だ。彼にとってこの王国は、羨望と欲望の感覚的な遊び場にすぎない。自己中心的な見方しかできない彼は、魔物にとっては利用しやすいカモである。だからあなたの死を夢見るときにのみ、彼はニンマリと笑うのだ。
リンの四方の境界には四人の大魔王がいて、それぞれの王がリンを侵食しようとしていた。
北方の十二の首を持つ魔物、ルツェンのところから、気に病んで疑い深い心と、嫉妬深くて傲慢な心の風が吹いてきたで、人のおこないを能率と能力ばかりでみる風潮が広がった。おお、ケサルよ、あなたがルツェンを滅ぼすときには心を失ってしまうだろう。しかし獅子のオレンジ色の勝利の旗がはためくことになるだろう。
東方のホルの大魔王の領域から、欺瞞に満ちた、悪賢い、輝ける青い波が押し寄せてきた。それによって人は自我に固執する不毛な行動をするようになった。彼らを征服する前に、親愛なる兄弟よ、あなたは自分の王国を失うという憂き目にあうだろう。しかし虎の白い勝利の旗がはためくだろう。
西方のジャンのサタム王の魔国から、希望と恐怖のめくるめく赤い雲がやってきた。それは人をそそのかして、自己を巻き込む情熱のドラマを演じさせるだろう。彼らを征伐することによって、自身の身体を失うという憂き目にあうだろう。あなたの偉大なる強さがこの場合は役に立たないだろう。しかし、ガルダの赤い勝利の旗がはためくことになるだろう。
南方の悪魔シンティの領域から、不確かと理論化の粘つく黄色い塵の雲がやってくる。それは孤独に打ち勝つため、人を引き付ける詭弁を弄させるだろう。彼らを征服する前に、鋼(はがね)の英雄よ、あなたは聖なる誓いを破らねばならない。しかし竜の青い勝利の旗がはためくことになるだろう。