フードゥー教入門第4章 

ルートワーク 

 上述のように、フードゥーには「根の魔術」(ルートワーク)という呼び名があります。というのも呪術や魔法のじつに多くが植物と関係しているからです。まじないをかけるとき植物の精霊が担う役割が大きいからだともわたしは説明しています。精霊が植物に棲んでいて、それゆえそれぞれの植物があなたの作り出す呪術に影響を与える独特の属性を持っているという信仰についてわたしは語りました。すべての文化において植物がヒーリングパワーを持っていることが知られています。しかしフードゥー教において、すなわち根の魔術において、もしあなたが好むなら、さらにそれ以上のことができます。植物は生理学的な働き以上の活用が可能なのです。この章では、ビギナーのレベルでこれについて探求していきましょう。そして根の魔術のベストの実践――それは望まれた結果を生む、あるいは増幅させる――とともに、特別なハーブの象徴についての基礎的な理解を深めていきましょう。

 

ルートの基本的な取り扱い 

 根を用いるとき注意すべきは、意図をもってはじめることです。もし少しだけ何か欲するもののためにまじないをかけるだけなら、ショップに入って必要なものを買いそろえて、まじないをはじめればいいのです。しかしフードゥー教をきちんとやってみたいなら、あなたが利用する植物の力において大地が果たす役割を理解しなければならないのです。まさにあなた自身のハーブ・ガーデンを持つか、学んで採集家になるか、という考えに慣れなければなりません。理由は簡単です。あなたが採集するハーブはまだかなり大地とつながっているのです。フードゥー魔術をおこなう際、「地」はパワフルな要素なのです。それはあなたがショップで購入した植物が受け入れられる結果をもたらさないということではありません。基本的な呪術のために、場合によっては、高度な呪術のために、ショップで買った植物でさえとても効果的なのです。しかしもしあなたが精神的に豊かな、持続的な、実践と軌を一にした何かを欲するなら、あなたは自然とやりとりすることを学ばなければなりません。土の中に届き、種子の頃から収穫期まで植物を育て、その植物を土の中からあなたのまじない薬に入れるのは、それを何に使おうと、深く満足できるものがあります。

 靴ひもを結んで、ハーブを探しに荒野へ出る前に、ある程度リサーチしていくことをすすめます。これによってハーブの識別ができるようになるでしょう。祖母もどれが食用で、どれがそうでないか教えることからスタートしました。ビギナーとして、自分の庭に植えるべき一般的なハーブがあります。それらを育てるのに大きなスペースもメンテナンスに多大なエネルギーを費やす必要もありません。あなたはそれらをポットやリサイクル・ボトルのなかで育てることができるし、このプロセスがもたらす恩恵を楽しむことができるのです。ルートワーク(根の魔術)に使われるもっとも一般的なハーブは、セージやローズマリー、ミントです。あなたがそれらを識別し、育てることができるようになるまで、このリストを拡張しつづけることができます。自分自身のハーブのガーデンを持つことが好きな理由の一つは、まじない袋やモージョーに入れる植物にアクセスしやすくなるからです。わたしにとってそれらはすぐ入手できるので、自分の家の中ですぐさま魔術的な雰囲気を高める混合薬を作りだすことができます。たとえばセージは浄化の植物で、邪悪を避けるのに使われると一般的に信じられています。あなたの空間にネガティブなエネルギーでいっぱいになっていると日々感じることを想像してください。ショップであなたが必要とするものを買うとき、そのエネルギーはあなたの家のすみずみに入りこんでいきます。あなたが自分のガーデンを持っているとき、すぐにダッシュして、必要なハーブを引き抜き、適切な材料を取り揃え、ただちに儀礼を始めることができます。

 あなた自身がハーブを育てることはあなたにとってそれほど魅力的なことではないとしても、つぎにすべきことは、フードゥー教の目的を持ってハーブを育てる人々とともに実践していくことです。魔術のためにハーブを育てる人の大半は背景にある芸術や工芸についての教育を十分に受けています。たとえば彼らはこうしたハーブを通常月のサイクルにしたがって植えます。それは大きな魔術的属性を持った植物に力を与えると信じられています。それらの収穫のタイミングもまたきわめて重要です。一部の植物は満月の夜の真夜中に花咲き、魔術的ピークに達すると信じられています。それで評価の高い魔術的ハーブ業者から買うとき、あなたは最高の結果をもたらす最高品質を得ているのだと確信することができます。繰り返せば、基本的呪文に必要なものを得るためにショップへ行くことができるが、あなたは植物をただ大地から育つもの以上に見始めているのです。もしあなたがフードゥー教実践者になろうとしているなら、創造的な魔術において「根・植物」の場所を理解しなければならないのです。

 

ルートの力 

 このセクションではわれわれが取り扱う一般的なハーブのうち10について焦点をしぼりましょう。これらのハーブは本書全体を通じて多くの呪術に用いられています。そして実用的な呪文やまじない袋なしでどのように利用するかについて分かち合うことができます。もしあなたがそれらから得たいなら、魔術のためにハーブを育てているだれかから買うか、あるいはあなた自身がハーブを育てるといいのです。

 

アルファファ 

 この植物はお金を引き寄せるのに使われます。フードゥー実践者としてもし家にいくばくかのアルファファがあるなら、確実にあなたの家にお金があるのを助けてくれるでしょう。またお金を引き寄せるために、財布やポケットにそれを少し撒いてもいいのです。

 

アンジェリカの根 

 この特別な根は暗闇とネガティブな力を食い止めることができます。もしあなたが女性なら、これを使うことによってあなたの女性性を増幅し、うまく活用すれば呪文で子供たちを守ることができます。わたしはまた幸運を招き寄せるため、アンジェリカ(セイヨウトウキ)の根の力を使い、ビギナー用のお守りの呪文を唱えます。

 

ブラック・マスタード・シード 

 わたしたちはこれを「戦いの種」とも呼びます。というのも主要な目的はあなたの敵の心の中に混乱を生じさせることだからです。もしあなたがいつも揉めているだれかと言い争っているなら、ブラック・マスタード・シードを彼らが歩くとされる道に撒いてください。そうすると混乱が生じ、彼らを動揺させ、あなたの道からはずれることになるでしょう。

 

カモミール 

 一般的に薬草治療においてカモミールは落ち着かせる効果があり、睡眠障害を持つ人によいと言われています。フードゥー魔術において、あなたにかけられた呪いを中和するのにカモミールが使用されます。

 

タンポポの根 

 先祖からの助力を必要とするとき、呪文があるなら、タンポポの根を使うことによってあなたの力の範囲、つながりは増大するでしょう。それによって先祖とアクセスしやすくなるのです。あなたが睡眠障害をかかえ、霊的攻撃の被害者だと感じたら、この本のなかで明らかにしているタンポポの霊薬を使い、さらにお守りを加え、あなたがよく眠れるよう手を尽くします。

 

フェンネル(ウイキョウ) 

 ウイキョウの種子を窓に吊るすことによって、あなたの家が魔術的な雰囲気を腐らせる悪霊やネガティブなエネルギーから守られている安全な空間であることを確かめてください。もし何かをするために少量の勇気の服用が必要なら、ウイキョウの種子をポケットに入れるといいでしょう。最初に呪文をかけ始めた頃、ポケットか手のひらにウイキョウの種を持っていました。さらに自信を持ってのぞむためです。おなじことをあなたもしていただけたらと思います。

 

ジンジャー 

 ある程度のレベルに達したフードゥー教の実践者になるまで、呪文を唱える前にジンジャーを少しばかりかじることをすすめます。ジンジャーは能力を高めるハーブのひとつなのです。関係を深める欲望を増加させるための呪術に、ジンジャーの根を使うのも、効果的な利用法です。とはいってもジンジャーは成功を引き寄せるために使われるのが一般的です。

 

ハイビスカス 

 フードゥー魔術の実践において危険な精霊を取り除くのは重要なことです。しかし同時に善良な精霊とつながりを持つことも大切です。特別な呪術においてハイビスカスを用いると、善良な精霊を引き寄せることになります。それらは喜んで順繰りに、あなたが目的を達するお手伝いをすることで喜ぶでしょう。あなたはまた愛や結婚、人間関係に関連した呪術に用いるでしょう。

 

レモングラス 

 もし自分に呪いがかかっていると感じたら、あるいは運に見放されていると思ったら、これらの呪いのネガティブな影響を取り除くために、あるいは悪運を完全に無効にするために、浄化の呪文や入浴のさいにレモングラスを使いましょう。

 

マンダラゲの根 

 マンダラゲは異なる呪術や儀礼に使われる多目的の植物である。それは人形に結びつけられたり、愛のまじないに使われたりする。それはお金を引き寄せるために、悪霊を追い出すために、モージョー袋に入れられる。そしてまた子宝を授かるためにも使われる。

 

ルートワークの呪術 

 上記のリストは、あなたの家にそろえておくべき基本的なハーブ一覧です。とはいっても呪術をかけるのに、ハーブだけが唯一のものではありません。もちろんフードゥー呪術はルートワークと呼ばれるものです。しかしほかの植物でない素材、たとえば骨や石などは、呪術の準備をおこなうさいに、とても重要なものなのです。

 引き寄せの呪術によってあなたは力をもらい、守護されます。そのさいに使われる根やハーブにはじつにたくさんの種類があるのです。あなたは富や幸運、愛を引き寄せたがっています。あるいはあなたの確信のレベルを一段と高めるために、あなたは自分自身が力を欲しています。またネガティブなエネルギーやネガティブな精霊、かけられる呪いから自分の身を守ろうとしています。本書で実践される、わざを覚えながらおこなう呪術の大半は、こうした必要から生まれてくるものなのです。早い段階から学ぶのは、重要なことなのです。

 ルートワークで使われる異なる種類のハーブについてオンライン上の情報源からたくさんのことを学ぶこともできます。そのすべてをあたるには、まるまるもう一冊の本が必要になるでしょう。しかしいま、ビギナーとしてあなたが知る必要のあるものすべてを取り上げたいとわたしは考えています。前述のようにつぎのステップは、ハーブをいかに正しく認識し、識別するかを学ぶことです。いくつかの植物は互いによく似ています。そこであなたはどれがどれかを確認するために嗅いでみる必要があります。最後のステップは、どのハーブを混ぜるか、混ぜないかです。単純に植物だから順序関係なく混ぜればいいと仮定しがちです。呪文を作るのは、サラダを作るのとは違います。植物の風味に頼るわけにはいかないのです。そのかわりにエネルギーの具合を調べ、一部のエネルギーが不調和であることを確認します。ポーションの中に不調和が認められるとき、望まれた効果がなくなり、ネガティブな結果が増大することになります。

 この「注意」を付け加えるのは、あなたを脅かすのではなく、通常の要素や素材を扱っているのではないことを理解していただくためなのです。あなたは呪術に関するものを扱っているのであり、ウイッチクラフト(魔術)に敬意を払って呪文作りをしなければならないのです。フードゥー実践者として学び、成長していくためには時間が必要になるのです。この本はフードゥー実践のつぎの段階に進むための足掛かりとしてください。導き手としてあなたの先祖を呼んでください。そう、彼らはいつも喜んであなたの手助けをしてくれるでしょう。わたしが知っている呪文のいくつかはママ・エステルから直接伝えられたものではありません。何を混ぜ合わせたらいいか本能的に知ったものがあります。それは先祖とのつながりからもたらされたものとわたしは信じています。彼らは呪文作りの間もずっとガイドしてくれます。あなたの先祖もあなたが心を開けば、おなじように導いてくれるでしょう。心を先祖にたいし開くのは、あなた自身を浄化するということです。精神的浄化は呪文づくりのプロセスの生きた側面です。つぎの章でそのあたりのことをもっと学びましょう。