フードゥー教入門第１２章　

守護の魔法

あなたは夜の恐ろしい物をも、

昼に飛んでくる矢をも恐れることはない（……）　

これは主があなたのために天使たちに命じて、

あなたの歩むすべての道で　

あなたを守らせられるからである。

「詩篇９１篇」　

 

　あなたがどこに暮らしていようと、安全が第一です。ときにはわたしたちが直面する危険は身体的なものであり、それがわたしたちの命を脅かします。それ以外は、危険は精神的なものですが、これもまた命を脅かします。内側からわたしたちを損ない、そのダメージからはじまるのです。フードゥーの守護の魔法によってあなたは身体的に、知的に、精神的に守られ、ネガティブなエネルギーの流入が防がれるのです。そしてたしかにあなたは、あなた自身が存在する空間のなかで、ある種のエネルギーによってつねに育まれています。このエネルギーによってあなたは保護され、落ち着きを与えられ、同時に意気を高められています。この章では、あまり一般的ではない魂の保存の実践について、考察を進めていくことにしましょう。

　ほとんどの人は、論理的思考や推論に囚われすぎているために、他者の観点からの影響を理解することができません。一部の人は霊的に目覚め、わたしたちのまわりのオーラや霊的なものを感じとることができます。しかしたいていは、知らぬが仏というのでしょうか、これらの脅威に気づかないのです。実質的にあなたは自分の人生に影響が及んでいることを感じることができます。すなわちつねに自分自身を守るのは重要なことなのです。フードゥーを実践するとき、あなたはこれら霊的な存在を認識することになります。そして一歩進むごとに精霊はあなたを意識するようになります。ときにはあなたの存在が意識されるのは、危険なことです。これについてもっと詳しく説明しましょう。

 

身体的、精神的攻撃から守る　

　フードゥーの実践とは、すなわち精神的な実践です。言ってみれば、毎日旅に出るようなものです。旅の途上であなたは内なる女神、あるいは神と出会います。するとまわりにある種の存在がいることに気づくのです。旅はいつだって美しく、平和そのもので、おだやかな目覚めに満ちていると語りたいものです。しかし実際、いい意図を持ったいい精霊がいるように、悪い意図を持った悪い精霊もいるのです。生命を損なうことを使命とする邪悪な霊がたしかに存在するのです。個人的なことを言えば、こうした手ごわい悪霊に害された人々の事例を扱ってきました。この人々にとっては、悪霊が存在することすら頭にないのです。かれらの人生には、たくさんのネガティブな要素が現れました。まるで一つの問題が片付いても、かならず別の問題が生じるかのようでした。残念ながら、個人の体験にこうした邪悪なものが現れるのを制限することはできないのです。

　無生物がネガティブな影響を受けることもあります。あなたはおそらく世にも恐ろしい何かが棲む家に引っ越すホラームービーを見たことがあるでしょう。映画として見るのは楽しいのですが、実際、現実にこういうことはあるのです。悪霊の棲む館はたしかに存在するのです。また人々が呪われて生活している場合もあります。呪文というのはただたんにあなたに対して発せられたネガティブな言葉というだけではありません。それはある人物が悪しき力に縛り付けられているということなのです。その人物がどこに行こうとも、ネガティブなエネルギーの雲の下にいるのです。知っているとしても、知らないとしても、呪いはかけられるのです。あなたはたまたま呪われた物と接しているのです。そしてたった一つの行いのために、有罪判決を受けるのです。あなたはまた呪われた人々とやりとりをすることがあります。それらとの関係からあなたは自分の人生にその呪いを引き寄せることができるのです。

　この状況の中で存在する身体的、精神的危険性を列挙しながらわたしはやってきました。しかしわたしの目的はあなたを脅すことでも、不安にさせることでもありません。つぎの旅の準備をうながすことなのです。フードゥーの実践家であることは、わたしがこれまで述べてきたことを認識しているということです。そして無力感を覚えるのではなく、パワーアップして悪しき霊を取り除く、あるいは少なくともあなたやあなたが愛する人々の命に悪影響を与えないようにするということなのです。この章では、一般的な呪いをいかに取り除くか、無力化するかについて学びます。そしてあなたの個人的なスペースを聖化し、ネガティブなエネルギーが流入しないようにし、あなたの人生から悪しき霊を追い出すのです。この本の呪文と同様、この呪文は複雑なものではなく、シンプルに効果があるのです。

 

無生物を守る　

　人から物体へ、あるいは精霊から物体へのエネルギーの移動はリアルなことです。わたしたちの祖先は魔法を、あるいは「意図」を統合し、パワーアップするために、物に力を与える技術を発展させてきたのです。無生物を守護する魔法は、エネルギーを物に縛りつけることを意味するわけではありません。あなたはエネルギーと意図をその物に移動させているのです。そして望んでいるものを引き寄せるための標識として利用しているのです。たとえば、善意の精霊とポジティブなエネルギーを引き寄せるために、あなたの家全体に守護の魔法をかけるとします。あなたに危害を加えようとするいかなるものも締め出すために、活性化した空間を作り出すのです。これはすべてのフードゥー実践者にとって重要なことです。あなたは旅を始めながら、過ぎ行く日々のなかで、より精神的に覚醒していくことになるからです。こうしてあなたは精神的に開放的になります。よい精霊も悪い精霊も、引き寄せることを意味します。

　あなたが魔法を実践する場所は――ほとんどの場合は家ですが――初歩段階ではとくに隠され、守られています。実践をおこなうと、悪しき精霊があなたの精神的な若さみつけこみ、あなたの空間を利用しようとします。実際、それらはあなたの空間に侵入してくるのです。守護の魔法は、悪しきまなざしや病んだ人間からあなたを守ろうとします。また心の底から興味を持たない精霊は、あなたの空間に入ることができません。あなたの家を守る守護の魔法は、ネガティブなエネルギーを駆逐し、独特の雰囲気を作り出します。これによってあなたの魔法はパワーを得るのです。あなたの家は、いわば防衛の最前線にあります。それは祭壇であり、かつあなたの精神的な出発点でもあるのです。この場所では、まちがいなくあなたはつねに最強なのです。まわりで使うあなたが作り出す魔法は、家で作り出すことのできる力の延長なのです。

　清めの入浴があります。これはあなたを身体的に、精神的に浄化し、守るためにおこないます。また、あなたが精神的エネルギーをそそぐ物があります。あなたはそれを持って動き回ります。しばしばあなたの「意図」を吸収したこれらの物によって、あなたは先祖のパワーを手に入れることができるのです。先祖はたいへん役に立つ存在で、力強い守護の魔法を生み出すとき、助けてくれます。あなたは次第に魔法が得意になり、邪悪な存在と接した瞬間、ルーンやしるし、呪文を通じてあなたは警告を受け取ります。この警告に対する反応は強烈で、あなたは激しい痛みやむかつきを覚えるでしょう。あるいは発作を起こすかもしれません。こうした強力な魔法は、初心者の手に負えるものではありません。学びながら成長するしかないのです。さあ、段階を踏んで成長していきましょう。そうして安全に魔法を実践していくことができるのです。

 

５つのシンプルだがパワフルな守護の魔法　

魔法１：ブラックソールト・パウダー　

目的：あなたの家や宝石、あるいはあなたが魔法をかけるエリアのような静止物や無生物を守る。個人の守護の魔法として使う。

 

　守護の魔法は通常サークルを用います。フードゥー魔術においてサークルを描くのは基本的な儀礼行為です。あなたはいくつかの素材を用いてサークルを作ります。あまたはここで祝福し、呪い、魔法で守ったり、パワーを与えたりします。この状況では違いなどありません。あなたが作り出すブラックソールトはあなたが守りたい個人の物や空間あたりのサークルで使われるべきです。あなたが必要とするのは以下のものです。

 

ブラックペッパー　

チャコール（炭）　

塩　

木灰　

 

　すり鉢にすべての材料を入れて、時計回りにおなじ動きで挽いてください。すべてがなめらかに、均一に混ぜ合わされるのを確認してください。中身をすべてボウルに移し、詩篇９１の祈祷で祝福してください。あなたが守りたいすべての物、すべての人のまわりにソールトパウダーでサークルを作ってください。

 

魔法２：炎とともに去れ　

目的：あなたがこの人生でもはや望まないものを取り除くこと。

 

　この魔法を始める前に、ほんの少しの間、腰を下ろし、最近あなたを悩ませていることについて考えてください。このことだけに集中してください。このことを正確に言葉で表してください。心の中でそれができたとき、はじめる準備ができたのです。つぎの材料がいま必要になります。

 

ベイリーフ（月桂樹の葉）　

レモングラス　

ピーナッツの殻　

ホワイトオニオン（ネギセパ）の皮　

 

　外の空間で火を作ってください。いい炎が得られたなら、ベイリーフの上にあなたが人生から消し去りたいものの名を書いてください。あなたが集中して考えるのは一つかもしれないし、リストにできるほど数あるかもしれません。リストの場合、一つ一つに一枚のベイリーフの葉を用意してください。ベイリーフの葉とその他すべての素材をボウルに入れてください。それを反時計回りにかき混ぜ、つぎの言葉を九回繰り返してください。

 

わたしが記したこれらのものよ、永遠に去れ　

 

　終えたとき、混ぜ物は燃やしてください。煙は吸い込まないようにしてください。すべてが燃え尽きたら、熱が冷めるのを待ち、どこか遠くで灰を埋めてください。

 

魔法３：厳しい日を浄化する　

目的：ネガティブなエネルギーと極度な疲労を除去する　

 

　エネルギーは雰囲気を高め、あなたの魔法が成功するように助ける役割を持っています。もし自分が厳しい日を送っていると感じたなら、この魔法がネガティブな感情を洗い流し、治癒と再生の道へあなたを導いてくれるでしょう。あなたは以下の素材を必要とします。

 

ユーカリの葉　

レモンの皮　

ペッパーミントの葉　

ローズマリー　

白色のチーズクロス（綿布）

 

　材料のすべてが新鮮である必要があります。それらを白いチーズクロスに結んでください。熱い風呂の湯をそそぎ、この布をハーブといっしょに熱い湯に浸してください。そして時計回りにかき混ぜてください。つぎにこれらから発生する蒸気を吸ってください。入れるようになるまで、熱い湯が冷めるのを待ってください。布からハーブを取り除き、あとで捨てるために脇に置いてください。数秒の間に風呂の湯にあなたの体を沈めてください。お湯から出ながら、自分の内側に光が満ちている姿を、そして体の外側が洗われるさまを心に思い浮かべてください。風呂から出て、自分の体を空気乾燥させてください。家からできるだけ遠いところに魔法の残り物を捨ててください。

 

魔法４：悪から守る　

目的：精神的、身体的危害に対して能動的に保護を与える。

 

　あなたがフードゥーの実践者であろうとなかろうと、この人生であなたを不快にさせる人々と出会うことになるでしょう。あなたの体は警戒を発するでしょうが、なぜこのように感じるかあなたはわからないでしょう。通常この人物が危険であること、それゆえこの魔法がこの種の人々からあなたを守るために生み出されたことを示しています。あなたはまたまさに同種の人々から誰かを守るためにそれを活性化することができます。それは影響力があり、ビギナーとしてできることでもあります。あなたは以下の材料をそろえてください。

 

青い七日キャンドル　

樟脳エッセンシャル・オイル　

クローブ　

ドライ・オニオン　

名前用紙　

 

　クローブとドライ・オニオンをいっしょに挽いてください。それらをよく混ぜてわきに置いてください。つぎにキャンドルの上に三つの穴をあけてください。第一の穴に樟脳エッセンシャル・オイル４滴をそそいでください。ほかの二つの穴には乾燥ハーブを少量入れてください。つぎに魔法をかけたい人の名前を紙に書きだしてください。そしてその紙をキャンドルの下に置いてください。聖書の好きな言葉を選んでください。わたしのお気に入りは詩篇９１です。キャンドルの灯を見ながらこの一句を読んでください。目的はあなたの思考と「意図」を集中することです。受け取ったエネルギーを引き寄せてください。そしてその人へ向けてください。詩篇を朗誦し終える頃、あなたは全身が洗われ、静寂の感覚を体験することができるでしょう。ロウソクの火を消して、つぎの七日間、毎日プロセスを繰り返してください。

 

魔法５：評判を守る　

目的：あなたについて邪悪なことやネガティブなことを言う人々の声を黙らせ、あなたの評判を守る。

 

　たった一つのツイートが長年のハードワークを壊すことのできるこの時世においては、あなたの評判が時間の試練に耐えられるかどうかは重要なことなのです。あなたに関してネガティブなことを言う人々があなたの名を口にしなくなるよう守護の魔法は手助けしてくれます。ゴシップやデマをばらまく人々を黙らす手助けをします。この魔法をおこなうのに必要なのは以下のものです。　

 

十字路の土　

あなたの名を記した紙　

さかさまオイル　黙れ！オイル　ストップ・ゴシップ・オイル　

銀貨　

魔法をつなぐ糸　

ヒマワリの種　

 

　角がぎざぎざした紙にあなたの名を目立つようにはっきりと書いてください。紙にあなたが好きなオイルを９滴たらしてください。

　紙の上に銀貨、十字路の土、ヒマワリの種を置いてください。紙をきちんと折りたたみ、糸をしっかりと巻いてください。それをあなたの唇に近づけて保持し、つぎの言葉を９度口にします。

 

わたしの悪口すべてを縛り上げます　

 

　呪文が唱えられます。それをバッグやポケットに入れておくことによって、魔法はつねにその人物にかけられていることになります。