フードゥー教入門第13章 

正義の魔法

 人生は公平ではない、と言われます。正義が奪われたと感じる立場に身が置かれたとき、あなたははじめてこの言葉の意味が理解できるのかもしれません。そして傍観者になり、運命に身を任せたほうがいいとみなされる一方で、ときにはあなた自身が何かをすべきだと感じることがあるでしょう。あるいはバランスを保ち、少なくとも正義がある方向へ局面を変えるために、精神的に物事に介在することになるのです。ここに正義の魔法が必要となってきます。これはすべてが自動的に大丈夫ということを意味居するわけではありません。なるほど、あなたが苦しめられたそのことによって敵が苦悶すれば、復讐はいいことのように感じられます。しかしつねにそうやって満足が得られるとはかぎりません。正義の魔法をかけるとき、このことを心に留めて、原則的なことを理解するのは重要なことです。

 

先祖の精霊に助けを求める 

 あなたがフードゥーを実践するとき、すぐに学ぶことになるもののひとつは、カルマについて積極的に信じているわけではないことです。儀礼のやりかたに通じるにしたがい、おそらくあなたはわたしの観点から物事を見ることができるようになるでしょう。そうだとしても、クリスチャンとしてのルーツがあるため、わたしたちの多くは強いモラルと倫理的な信仰に導かれます。正義の呪文を唱えると決めたとき、あなたは通常正しい威厳に満ち、あなたとおなじ血が流れ、ルーツをおなじくする先祖以上にこの痛みを理解できる人はいません。それぞれ、そしてだれもが人生において、ある時点で、不公正の被害を受けています。おそらく公正さを得るほど十分に長生きすることはできないのでしょう。

 このように魔法をかけるときに先祖の精霊に頼むと、彼らは喜んであなたを助けてくれるでしょう。彼らはもっぱらこうしたタイプの魔法では助けてくれるのです。それは運命的要素を助長するのです。フードゥーの実践において、一般的な集まりではこのことについて語られることはありません。しかし先祖たちはこういったとき、わたしたちを助けてくれるものなのです。彼らがあなたの魔法を援助してくれるとき、繊細な物事をうまく扱えなかったとしても、その重荷を取り除いてくれます。言い換えるなら、あなたの魔術が生き生きとしたものになるよう、彼らが助けてくれるのです。どんな事態になったとしても、うまく対処してくれるのです。幸い、あなたは失うものがありません。しかしあなたはこの魔法を行う際、彼らが喜びそうなものをささげて、しかるべき敬意を払わねばなりません。この本を通じてつねに言ってきたように、すべての魔法には満たすべき条件があります。正義の魔法によってあなたがすべきことは、先祖が満足しているという確信を持つことなのです。それ以外のことは、先祖たちに任せておけばいいのです。

 

 

カルマ、復讐、正義 

 すでに述べたように、カルマはフードゥーの概念ではありません。あなたがフードゥーの実践家として約束事を守り、考えがしっかりしていて、バランスが保たれていると確信を持つことができるかぎり問題はないのです。感情が高まっていると、魔法はうまくいきません。あなたの先祖が手助けしてくれたとしても、魔法の効果を薄めるだけなのです。このこととカルマはまったく関係ありません。何よりも、善悪のバランスを保つことであり、魔法があなたの意図からはずれていないことを確かめることが必要なのです。

 心に痛みをともなう場合、復讐はきわめて強い感情となります。痛みが強ければ強いほど、怒りは増し、仕返ししたいという欲求は強くなり、あなたの判断力を鈍らせることになります。本書の導入部で、心を明瞭に保ち、魔法がどんなふうにおこなわれ、どんな影響を与えるかに集中することの重要性について話しました。感情が強くなりすぎると、バランスが失われ、逆の結果をもたらしてしまうのです。料理とよく似ています。スープを作るとき、塩と他の風味とのバランスが取れているかどうかを確かめるようなものなのです。塩味が他の風味を圧倒するようなら、うまいスープはできていないのです。これはカルマのなせる業ではありません。単純に、行なったこと、行わなかったことの結果なのです。このことを心にとどめて、5つのシンプルな魔法について見ていきましょう。これによってあなたは正義を得ることができ、有利に物事を進めることができるはずです。

 

5つのユニークな魔法で正義を得る 

魔法1:やめさせる 

目的:あなたが状況にうまく対処できる準備が整うまで、一時的に人々に合法的な行動を起こさないようにする。 

 

 まったく思いもよらない裁判沙汰に巻き込まれてしまったときなどに、この魔法は役に立ちます。ご存じのように訴訟手続きには膨大な時間がかかってしまうものです。法的費用にどれだけの金額を要するかはわかりません。裁判が有利に進むかどうかもわかりません。そこであなたは実際に裁判が始まる前に、いつでも魔法が始動できるように準備を整えておくのです。魔法はすばやく、簡潔におこなうべきで、手間をかけすぎてはいけません。以下のものをあなたは必要とします。

 

一枚の紙 

透明な水差し 

 

 自分の関連で裁判沙汰になっていることすべてを紙に記してください。とくに自分にかけられている嫌疑と心配な点に集中してください。この紙を水差しに入れ、水差しをフリーザー(冷凍庫)にしまってください。水が凍っているかぎり、訴訟は滞ったままでしょう。しかしこれが一時的なことにすぎないのは、覚えておいてください。問題がなくなったわけではありません。あくまで一時的にストップしているだけのことなのです。

 

魔法2:ホットソースの復讐 

目的:あなたを傷つけた人々に身体的な苦しみを与えること。 

 

 復讐という料理は、冷菜(コールド・ディッシュ)で食べるのがベストと言われます。しかしあなたに必要なのは少しばかりのホットソース(唐辛子ソース)です。それによって復讐はあなたの口の中で報いの風味となります。復讐の魔法における主役はホットソースなのです。ある人物に復讐をしたいなら、台所でもっとも辛いソースを見つけてください。心配することはありません。この魔法がかけられた人物は死ぬこともなければ、非人道的な扱いを受けるわけでもありません。ただ苦しむだけです。この魔法のために必要なのは以下のものです。

 

ホットソース 

人形かフィギュア、あるいはキャンドル 

 

 あなたが魔法をかけたい人の身替りとなるキャンドル、人形、フィギュアをまず清めてください。その人物の名を知らない場合(あなたが名を知ることなく礼遇されたり、傷つけられたりした場合)、あなたはシンプルに人形にタグをかけます。タグには「〇〇したすべての者」と書かれています。〇〇とは、あなたに対してしたこと、傷つけたことを表しています。人物の名がつけられた人形を聖化すると、つぎにホットソースを人形全体にまんべんなくかけてください。全体にかけ終えたら、それを太陽のもとに置いてください。フィギュアやキャンドルにまぶしたホットソースが乾くと、魔法をかけられた人は説明しがたい熱を感じるようになります。そして体全体にみみずばれの痕が広がっていきます。

 

魔法3:彼らの愛を干せ 

目的:ドラマ的展開もネガティブな成り行きもなく、関係を破壊する。

 

 わたしたちは愛する人、あるいは気にかけている人が、元恋人と恋愛関係を持っているみたいな状況に置かれています。この魔法は、互いに持っている愛情を干上がらせることによってその関係を終わらせるように考えられています。そして彼らはばらばらになってしまいます。あなたが必要とするのは以下のものです。

 

燃え尽きたマッチ 

ジャー 

名前の紙 

ピン 

塩 

砂 

赤いバラのつぼみ 

 

 手にいっぱいの燃え尽きたマッチを同じ量の塩と砂の混ぜ物に入れてください。一枚の紙にあなたの愛する人の名を書き入れ、もう一枚の紙に愛着のある物の名を書いてください。この名前入りの紙を折りたたんでバラのつぼみに入れてください。中に入れた紙ごとバラのつぼみにピン留めを通してください。これですぐに性的な関係が終わります。砂、塩、燃え尽きたマッチの混ぜ物を水差しに入れてください。紙ごとピンで留めたバラを水差しに入れてください。それを密封して墓地に埋めてください。心を落ち着かせてください。あなたは緩慢ではあるが、明確な人間関係の腐敗を目撃することになるでしょう。

 

魔法4:頭を攻撃する 

目的:あなたの敵を悩ませ、苦しめる。 

 

 邪悪な人間に平穏などありません。もし本当にあなた自身復讐の使いになりたいなら、敵に平穏がないことを確かめるために、この魔法を投下することができます。ただこの魔法を始動する前に、あなたのエネルギーと感情を集中させることを忘れないでください。あなたに必要なものを列挙しましょう。

 

黒い糸 

黒のマーカー 

ココナッツ 

 

 まず水の中にココナッツを沈めながら、敵の名のもとにそれを清めてください。そしてつぎの言葉を唱えてください。

 

あなた(敵の名を言ってください)を清めます。このココナッツはあなたの頭です。このココナッツに起こることはすべてあなたにも起こります。

 

 この言葉を三度繰り返し、魔法に戻ってください。黒のマーカーで、この人物に起こってほしいことをココナッツに書いてください。たとえば、あなたはつぎのように唱えます。

 

「ひどい頭痛に悩まされます。薬も効きません」

「遠くへ移動します」

「財布をなくします」

 

 あなたの嘆願が何であろうと、すべてココナッツに書いてください。嵐の前に魔法をかけると、より効き目があります。ですから嘆願を書き終えたらすぐ、外の木に吊るしてください。嵐が過ぎたあとココナッツがなくなっていたら、精霊があなたの嘆願に答えたということでしょう。もし木の上に吊り下がったままなら、それを下ろし、ハンマーでたたき壊してください。あなたの意図は、敵の人生の中で明らかになります。

 

魔法5:害から守るボトル 

目的:逮捕、虐待、不正行為を防ぐ。

 

 もしあなたが、これら三つのこと――逮捕や肉体的虐待、不正行為――が起ころうとしている状況の中にあるなら、このような魔法によってあなたは保護されます。すなわちこれらが起きるのを止めるのです。この魔法は祖母が教えてくれた初期の魔法の一つです。そのパワーは現代の風潮においても生きているのです。その材料は以下の通りです。

 

黒い羽根 

強いリキュール 

名前用の紙 

オレガノ 

塩 

 

 守りたい人の名前を書いてください。それをリキュールのボトルの中に置いてください。オレガノ、黒い羽根、塩をおなじボトルの中に入れ、そのボトルを密封してください。もしそのほうが楽に感じるなら、聖書の中から好きな詩篇を選び、守りの祈りをとなえることでこのプロセスをバックアップすることができます。これを終えたら、ボトルを11回振り、逮捕、虐待、不正行為などを感知したときはいつでも、裏口のドアの外にそれを置いてください。その問題がなくなるまで、ふたたび必要としたときのために、それを乾燥した場所に貯蔵しておいてください。