フードゥー教入門　

第1章　わがフードゥー教のルーツ　

　わたしがはじめてママ・エステラのサポートなしに独立してフードゥー教の儀礼をおこなったのは、ある若者がコンビニ開店の準備を進めているときのものでした。彼が商売に挑戦するのはこれが三度目でした。二度の挑戦に失敗した彼は、自分が呪われているのではないかと心配しました。新米呪術師のわたしは大きなプレッシャーを感じていました。わたしはなんとか守護の呪文をとなえることができました。わたしがここに呼ばれたのは、彼の不運を幸運に変え、彼の生活に富みをもたらすためでした。

　わたしは彼の店の掃除を、フロア拭きからはじめました。拭くのに根とハーブを使ったのは、それらによってフロアがきれいになり、よく守られるだけでなく、金運を招き寄せるからでもありました。フロアのあと、ドアや店に通じる通路を掃除しました。それを終えたあと、わたしは玄関に穴を掘り、９ペニーを埋めると、磁鉄鉱とともに土手から取ってきた土をかぶせました。そして良質のウイスキーを土の上に滴らせました。二週間後、店はオープンしました。その六か月後、彼は町の別の場所に支店をオープンしました。その後ずっと経営はうまくいきました。この最初の試み以降、何十年もの間、わたしは何度も浄化と金運招き寄せ儀礼をおこないましたが、そのたびごとに効果はありました。

　わたしはあなたがフードゥー教の実践者として旅をはじめたばかりで、結果を得るため、効果的な方法を探し求めていると想像しています。あなたはこの金運を招く呪文のことを知り、本を読み終えるまでにその内容を飲み込んでいることでしょう。上述の呪文は、初心者のための基本的なもののひとつです。この本の終わりで、あなたは自分自身の金運の呪文をつくり、運を変え、つきがもっとよくなるとわたしは確信しています。それと同時に、あなたの理性的な側面が、わたしがリストアップした要素の説明を求めているのもたしかです。それらコイン、磁鉄鉱、土手から取った土くれは、富があることを示しています。

　これらのものすべてとこの物理的空間の向こうの世界とのつながりを見るために、あなたはカーテンからのぞき見し、心の境界線を広げる必要があります。さて、わたしにとってフードゥー教の実践に入るのは容易だったので、あなたが何と戦っているかを完全に理解することはないでしょう。それはつまり、わたしの最初の儀礼が効果的であるとかたく信じている第一の理由を、すなわちそれが効いていると信じる理由を示すべきなのです。もしこうしたことがあなたにとってまったく新しいものであるなら、確かだと思っていたことに関して見方を変えるための冒険を始めているということです。

　なぜわたしにとって信じるのはたやすいのでしょうか。わたしは若いハイチ人移民とクレオールの娘との間に生まれた私生児でした。両親は子供を育てるにはあまりに若すぎたので、結局は祖母に育てられたのです。母はのちに別の男と結婚しました。わたしは母の家や父の家にしばらく滞在しましたが、子供時代のほとんどをママ・エステラと過ごすことになったのです。わが子供時代は少しばかり奇妙でした。しかしおかげで物事をほかの人とはまったく違った角度から見ることができるようになりました。